交際費には、取引先との飲食代や接待ゴルフ、贈答品などがありますが、仕事に関わる人かどうかや事業の利益に繋がるかどうかが交際費になる判断基準となります。
この交際費の考え方は個人事業主も法人もほぼ同じですが、法人(中小企業)は限度額が年間800万円までなのに対し、個人事業主には限度額はありません。
今回は、個人事業主の交際費の種類や友人や親族でも交際費になるケース、交際費と混乱しやすい会議費や福利厚生費について詳しく説明していきたいと思います。
この記事で分かること |
❶ 交際費にできる支払いの例 ❷ 友人や親族との支払いでも交際費にできるケース ❸ しっかり交際費と認めてもらうための領収書の貰い方 |
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個人事業主の交際費の定義
まず初めに、個人事業主の交際費の定義について、法人と比べながら説明したいと思います。
交際費の考え方
交際費は『接待交際費』とも呼ばれていますが、仕事で関わりのある人を接待したりお中元などを贈ったりと、円滑に仕事をする目的で使う費用が交際費になります。
つまり、仕事に関わる人かどうかと事業の利益につながるかどうかが重要になります。
ですので、個人事業主の方だと、家族や友人との飲食代など何でもかんでも交際費にできると思っている方もいるかもしれませんが、仕事と全く関係ない人の場合は交際費にはできません。
ちなみに、この交際費の考え方は個人事業主も法人も同じです。
交際費の限度額
上記で交際費の考え方についてお伝えしましたが、次は個人事業主と法人の交際費の限度額について説明したいと思います。
個人事業主の場合
個人事業主の交際費には、限度額はありません。
但し、限度額がないからと言っていくらでも使っていいとは限りません。
上でもお伝えした仕事と関わりがある人かどうかもちろんですが、売上金額に対して交際費が多すぎたら税務署に怪しまれますので、常識の範囲内ということを頭に入れておいてくださいね。
▼交際費の相場は?
個人事業主の交際費には限度額はありませんが、常識の範囲内の金額とは一体いくらなのか目安を知りたい方も多いと思います。
その会社の規模や業種にもよりますが、資本金1,000万円以下の法人で1社あたり85万円くらいが相場なようです。
これは法人の場合ですので、あくまで参考程度にしていただければと思います。
そもそも個人事業主の場合は交際費に限度額はありませんし、金額よりも「誰」や「目的」の方が重要ですので、金額にとらわれすぎないようにしましょう。
参考:「会社標本調査|国税庁」
法人の場合
法人の場合の交際費の限度額は以下の通りです。
- 中小企業(資本金1億円以下)→年間800万円までorは接待飲食費の50%まで
- 大企業(資本金1億円以上)→接待飲食費の50%まで
取引先との飲食代の金額を注意された経験がある会社員の方もいるかと思いますが、法人は個人事業主と違って、交際費に上限があったんですね。
ちなみに、飲食代が一人あたり5000円以下であれば「交際費」ではなく「会議費」にすることができます。
個人事業主が使う代表的な交際費の種類
個人事業主の交際費の定義について説明しましたが、次は、実際に交際費になるものにはどんなものがあるのか説明したいと思います。
接待飲食代
交際費の代表的なものと言えば飲食代ですね。
仕事上で関りのある取引先や仕入先、見込み顧客との飲食代なども接待交際費になります。
ちなみに、仕事上の関りがあるというと、従業員もそうなのかと勘違いされる方もいるかもしれませんが、従業員の場合は接待交際費にはなりません。
従業員の飲食代に関しては後で詳しく説明します。
ゴルフや旅行代
「接待ゴルフ」という言葉があるくらい、ゴルフも代表的な接待交際費の一つですね。
また、取引先との仕事を円滑にするために、旅行やイベントなどに招待した場合の代金も接待交際費になります。
ちなみに、ゴルフや旅行などに招待した場合、送迎のためのタクシー代などの交通費も発生するかと思いますが、その交通費も接待交際費になるので注意してくださいね。
お中元・お歳暮
日頃からお世話になっている取引先や仕入先などに、お中元やお歳暮を贈ることもあるかと思いますが、それらも接待交際費になります。
慶弔見舞金
取引先の方の結婚祝いやお葬式の香典なども交際費にすることができます。
ちなみに、慶弔見舞金には領収書は出ませんが、出金伝票に日付・金額・相手の名前・内容を記入し、案内状などを保管しておけば問題ありません。
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手土産代や祝い用花代
取引先や仕入れ先に伺う際に、手ぶらで行くのは…と手土産を持って行くことも多いかと思いますが、その手土産代ももちろん交際費になります。
また、仕事で関りのある方が開店したり事務所を移転した場合も、そのお祝いの花代は接待交際費になります。
個人事業主の友人や親族でも交際費になるケース
冒頭でもお伝えしましたが、交際費は仕事に関わる人かどうかや事業の利益に繋がるかで決まります。
ですので、友人や親族などは仕事には関係ないから、交際費にできるわけがないと思っている方もいるのではないでしょうか。
個人事業主の友人や親族でも、交際費になるケースもあるのでご紹介したいと思います。
友人でもあり取引先などの仕事関係者の場合
個人事業主には、同じく個人で事業をされている友人がいるという方も少なくないと思います。
ですので、友人でもあり仕事上で関わりのある関係であれば、その友人との飲食代は当然交際費にすることができます。
友人が仕事の情報提供者の場合
友人から事業に関する情報提供を受けるという目的があれば、その飲食代もしっかり接待交際費になります。
仕事上で関わっているわけではないですが、この場合は事業の利益に繋がる情報と考えてもらえれば分かりやすいと思います。
親族がお客さんの場合
例えば、個人事業主であるあなたの会社の商品を親族の方が購入してくれている場合、その親族はあなたのお客さんということになりますね。
ですので、その親族への贈答品や飲食代は立派な交際費になります。
但し、ここで注意しなくてはならないのは、同居している親族は交際費にならず、あくまで同居していない親族(生計を共にしない親族)に限り交際費になるところです。
交際費以外の個人事業主の飲食代|会議費・福利厚生費
事業に関わる費用を経費計上する際に、多くの個人事業主の方が、どの勘定科目にしたらいいか悩まれると思います。
交際費の代表的なものと言えば飲食代ですが、個人事業主が支払う飲食代には、交際費以外の会議費や福利厚生費になる場合がありますね。
それでは、交際費ではなく会議費や福利厚生費になる飲食代とはどんなものがあるのか説明したいと思います。
会議費
会議費もよく聞く勘定科目だと思いますが、個人事業主支払う飲食代が交際費ではなくて会議費になるケースをご紹介します。
取引先との飲食代が一人5,000円以下
上記で、法人の場合一人あたり5,000円以下の飲食代は、交際費ではなく会議費にできるとお伝えしました。
個人事業主の場合は、交際費でも会議費でもどちらでも構いませんが、交際費は税務署に目を付けられやすい科目であることは確かです。
ですので、より安全に経費計上するためにも、個人事業主の方も法人同様、一人5,000円以下の飲食代は会議費にしといた方がいいでしょう。
従業員との打ち合わせ飲食代
従業員と打ち合わせや会議で飲食した場合の代金も会議費になります。
この場合の会議費は、この後に説明する福利厚生費とも混乱しやすいので注意しましょう。
一人でカフェ仕事
個人事業主の方は、一人でカフェや喫茶店などで仕事をすることもあるかと思います。
その際の飲食代は、一人なので当然交際費にはなりませんが、会議費として経費計上することができます。
福利厚生費
福利厚生費は、従業員の慰安のために支払う費用ですが、交際費と福利厚生費で迷うケースをご紹介します
従業員のみの新年会や忘年会などの飲食代
取引先を接待するときに、従業員も一緒に参加することもあるかと思いますが、その際の飲食代はもちろん交際費になります。
ですが、従業員のみの飲食代の場合は交際費にはなりません。
個人事業主が従業員の慰安のために新年会や忘年会などを企画することもあると思いますが、その場合は福利厚生費になります。
但し、福利厚生費になるのは従業員全体に向けての場合で、一部の従業員に対しての場合は福利厚生費とは認められません。
個人事業主の専従者の飲食代は経費にならない
個人事業主が専従者(親族)も含めた従業員全体に対し、忘年会などを行った場合は福利厚生費にすることができます。
ですが、個人事業主と専従者のみの場合は福利厚生費にはならず、完全にプライベートのためそもそも経費として認められません。
個人事業主が問題なく交際費計上するための領収書の扱い方
個人事業主の交際費にはどんなものがあるのか紹介してきましたが、交際費を計上する際に重要なものは領収書ですね。
経費計上するために領収書は必要不可欠ですが、その中でも特に交際費は領収書の取り扱いに注意が必要ですので説明します。
交際費の領収書には「誰」と「何」をメモしておこう
経費を使った際は必ずその領収書やレシートを貰うと思いますが、交際費の領収書へは、必ず以下の内容をメモしておきましょう。
- 取引先などの相手の名前(接待した相手、手土産を渡す相手など)
- 合計人数(接待したときの先方と自社の合計人数)
- 話した内容など
合計人数と話した内容は接待飲食代の場合ですが、合計人数がはっきりしていれば一人あたりの単価も計算できますし、話した内容で仕事の利益を目的とした接待かどうかも分かりますね。
交際費の領収書にメモをしておく理由
上記で交際費の領収書に相手先の名前や目的をメモするとお伝えしましたが、正直面倒だと思った方もいるかもしれませんね。
ですが、交際費の領収書にメモをするのには、ちゃんと理由があるので説明します。
帳簿に記帳がスムーズにできる
接待交際費の相手の名前や合計人数などは、帳簿の摘要へ記帳することになります。
ですので、領収書にあらかじめメモしておいた方がいいのはもちろんですが、仮に後で思い出して書けばいいと思っても、時間が経ってしまってからでは思い出すのも難しいかと思います。
ですので、領収書をもらったら早めに記入するようにしましょう。
領収書が証拠になる
先にもお伝えした通り、交際費は経費の中でも税務署が一番チェックする勘定科目でもあります。
交際費は、仕事に関わる人なのかや事業の利益に繋がる費用なのかで決まるので、上でメモを書いた領収書がその証拠になるわけです。
個人事業主のところへ税務署が調査に入ることはほとんど無いかと思いますが、今後事業を拡大した時のことを想定して、今のうちから領収書を『根拠』という意識で事業に取り組みましょう。
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まとめ
以上、個人事業主の交際費にできる範囲|その種類や会議費・福利厚生費との違いでした。
簡単にまとめると
- 個人事業主の交際費には限度額はない
- 交際費は「誰」と「何」が重要
- 交際費は会議費や福利厚生費と混乱しやすいので注意しよう
- 税務署のチェックが厳しい交際費でも、領収書にちゃんとメモしておけば問題ない
いかがでしたでしょうか?
個人事業主の交際費には上限がないといっても、やはり税務署が一番チェックするのは確かです。
ですが、事実をキチンと記帳すれば何の問題もありませんので、個人事業主の方は接待交際費を使って、売上アップのために頑張っていただければと思います。
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