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旅費交通費とは?通勤手当との違いや経費にできる内容と仕訳例

旅費交通費とは、事業のために交通機関を使った時の交通費や出張での宿泊費などを経費にする時の勘定科目です。また、従業員を雇っている場合は従業員に支給する交通費(通勤手当)も旅費交通費にすることもあります。

今回は、どのような支払いが旅費交通費になるのかを詳しくご説明していきたいと思います。そして、旅費交通費ならではの疑問や注意点もありますので、後半ではよくある疑問や注意点について回答していきたいと思います。

この記事で分かること
旅費交通費と通勤手当の違い 
旅費交通費として経費にできる費用の例
旅費交通費を使った時の帳簿の付け方

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旅費交通費とは?通勤手当との違い

一般的に「交通費」と言われているものには、大きく分けて2つの種類に分かれると思います。

1つが、今回メインでご説明する「旅費交通費」のこと。もう1つが、従業員が支給される交通費、「通勤手当」のことです。

どちらも帳簿を付けるときは旅費交通費で記帳できますが、少し性質が違いますので、それぞれの違いをご説明したいと思います。

旅費交通費とは?

個人事業主の方の旅費交通費と言えばこちらの方ですね。事業に関わる実際に支払った実費の旅費や交通費を経費として計上する時に使う勘定科目です。

旅費交通費に上限はありませんが、実際に支払っていて事業に関わる旅費交通費でなければ経費にはできません(下でお伝えする「手当」の場合は規定を作っておくことで規定支給も可能になります)。

旅費と交通費の違い

旅費交通費をさらに「旅費」と「交通費」に分けることができます。この場合の2つの違いは、移動距離の違いで分けることが多く厳密な決まりはありません。だいたい移動距離100㎞を目安に旅費と交通費を分けることが多いようです。

ただ、帳簿に付けるときは「旅費交通費」として一緒になっていますので、そこまで気にする内容でもないでしょう。

通勤手当とは?

勘定科目で旅費交通費になるけど、上記の旅費交通費とは少し違った性質を持つものが、従業員に対する通勤手当(出張手当)です。

「給与手当」として処理することもありますが、一般的には「旅費交通費」で処理することが多いです。

先にご説明した旅費交通費では実費のみ経費にできるとお伝えしましたが、手当の場合は規定を作っておくことで規定支給も可能です。規定支給とは、「月○○円を通勤手当として支給する」というように、あらかじめ決めた金額を支給することです。

通勤手当は非課税にできる

通勤手当を給与に含めて支給している所もありますが、旅費交通費(もしくは給与手当)として、正しく帳簿に付けて手当として支給することで、会社側と従業員側どちらにもメリットがあります(特に従業員)。

給与に含めて支給してしまうとそのまま従業員の所得になって所得税や社会保険料が上がってしまいますが、通勤手当は非課税にできるので手当分の所得は上がりません。わずかながら所得税や社会保険料が下がるということですね。

非課税分には上限が設けられており、それを超えると給与扱いになりますが、従業員の為にもなりますので正しく仕訳しておきたいですね。

参考:「電車・バス通勤者の通勤手当|国税庁

旅費交通費として経費にできる支払い内容の例

それでは、こちらではどのような支払いが旅費交通費として経費にできるのかをお伝えしたいと思います。

旅費と言えば出張費用、交通費と言えば交通機関の料金やタクシー代などをイメージしますが、それ以外にも旅費交通費になるものはあります。

交通費の種類

  • 電車代
  • バス代
  • タクシー代
  • 航空券代
  • 船賃
  • 回数券
  • 高速道路・有料道路代
  • ガソリン代
  • パーキング代(月極駐車場代は地代家賃になります)
  • レンタカー代
  • 宿泊費

交通機関料金や宿泊費以外にも、上のような支払いが旅費交通費になります。

要は、事業関係で移動が必要な時に発生してくるお金が旅費交通費なってくると思っておけば良いでしょう。

旅費交通費にはできない支払い

一見すると旅費や交通費であっても、経費にできなかったり他の勘定科目が適している場合の支払いもあります。

プライベートの移動は当然NG

他の経費にも言えることですが、事業には関係ない移動での旅費交通費を経費にすることはできません。

個人事業主の場合、仕入れや取材と銘打って半分旅行のようなことがしやすいかもしれませんが、旅費交通費として経費にした以上、事業と関係あるという証拠を多く残しておいた方が良いです。

仕入れであれば仕入先情報や品物の情報、取材であれば出来上がった成果物などです。旅費交通費はプライベートとも混同しやすく税務署からも目を付けられやすいので、売上に対して旅費交通費が多めの方はしっかり説明できるようにしておきましょう。

家族従業員との旅行もNG

個人事業主の方の中には家族を家族従業員にしている方がいるかと思います。

慰安旅行として家族旅行をされる場合があるかもしれませんが、残念ながらこれを経費にすることはできません。

家族旅行は家族旅行として、完全にプライベートのものとして割り切りましょう。

従業員の慰安旅行は福利厚生費

一方で、一般従業員を雇っている方は慰安旅行の費用を経費にすることができます。

ただ、この場合の勘定科目は旅費交通費ではなく「福利厚生費」です。

慰安旅行が福利厚生費に認められるには、

  • 期間:4泊5日まで
  • 参加人数:従業員の半数以上
  • 金額:1人当たり10万円まで

という条件がありますが、一般的な国内旅行であれば十分に収まる範囲の条件でしょう。

移動の目的があれば勘定科目が変わることも

交通機関を使ったり宿泊したり、一見すると旅費交通費としての支払いでも、厳密には他の勘定科目が適している場合もあります。それぞれの移動に目的がある場合です。

例えば、取引先の方を送っていって交通費はこちら側が払った場合、接待交際費が適しています。消費者に宣伝するために展示会に行った時の旅費なども厳密には広告宣伝費の方が良いです。

ただ、この程度の違いは間違っているからやり直しという程度の違いでもないでしょうから、補足として覚えておいていただければと思います。

旅費交通費の仕訳のやり方

旅費交通費のことは分かっていただけたところで、こちらで旅費交通費の仕訳の仕方についてご説明したいと思います。

旅費交通費の支払い方法もいくつかの種類に分かれますので、それぞれの支払い方法による仕訳例をご紹介します。

タクシー代を現金で支払った場合の仕訳

まず、基本中の基本ですね。現金で経費を使った場合の仕訳です。

借方勘定科目 借方 貸方勘定科目 貸方
旅費交通費 1,000円 現金 1,000円

借方で旅費交通費に1,000円使ったことを、貸方に現金1,000円が減ったことを記入します。

電子マネーで交通機関を利用した場合の仕訳

交通費は電子マネーで支払っている方も多いと思います。間違えないで欲しいことが、電子マネーにチャージした時点では経費にはならず、チャージした電子マネーを使って初めて経費として使ったことになります。

ですので、帳簿に付けるときは以下のように記入します。

チャージした時の記帳

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
預け金 10,000 現金 10,000

まず、チャージした時に上のように帳簿に付けます。「預け金」とありますが、「仮払金」や「前払費用」でも結構です。

ここで、現金を預け金(チャージ金)に替えたという内容の記帳をします。

実際に使った時の記帳

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
旅費交通費 1,000 預け金 1,000

次に電子マネーを使った時にこのように記帳します。先に記帳した預け金から、旅費交通費1,000円を使ったという内容ですね。

電子マネーを使った時に領収書は発行されませんので、履歴を定期的に発行して残すようにしておきましょう。

出張費を仮払いした場合の仕訳

従業員を雇っていて出張費などを支払う場合、先にお金を渡しておいて後で精算することもあるかと思います。

考え方は先ほどの電子マネーと同じで、以下のように帳簿に付けていきます。

先に仮払いした時の記帳

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
仮払金 50,000 現金 50,000

まず先に5万円を仮払金として従業員に渡しておいたとすると、上のように帳簿に付けます。

費用精算した時の記帳

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
旅費交通費 30,000 仮払金 50,000
現金 20,000    

後日従業員が返ってきて、実際に使った費用を精算します。3万円を使って2万円が残金になったとしたら、上のように帳簿に付けます。

領収書がもらえなくても旅費交通費にできる

旅費交通費(特に交通費)は、領収書が発行されないケースも多々あります。

上の電子マネーの仕訳例でも簡単に触れましたが、領収書が無くても他に証明できるものを準備しておけば問題なく経費にすることができます。

出金伝票で代用可能

旅費交通費に限らず、領収書が貰えない場合は出金伝票を使って代用することができます。

出金伝票は文房具屋さんで数百円で購入できますし、Wordなどで自作しても問題ありません。

記入する内容は、

  • 日付
  • 金額
  • 交通機関名
  • 区間
  • 理由・目的

など、どのような支払いをしたのかが分かるようになるべく詳しく書いておきましょう。

出金伝票で代用は可能とは言いましたが、やはり領収書よりも信ぴょう性は低くなりますので、1度の金額が高いものはなるべく領収書を貰うように心がけましょう。

電子マネーは利用履歴でOK

上でもお伝えしましたが、電子マネーの利用は履歴によって証明することができます。

電子マネーの利用履歴はチャージする時の機械などで簡単にできますので、電子マネーをよく使っている方は、1ヵ月に1回など定期的に発行しておくようにしましょう。

まとめ

今回は、身近な経費の1つ旅費交通費についてご説明しました。

事業に関わる移動や宿泊にかかった費用は旅費交通費として経費にできます。従業員に通勤手当として交通費や出張費を支給している場合、非課税にできる部分もありますので、きちんと旅費交通費や手当として処理するようにしましょう。

また、交通費には電子マネー払いや領収書が発行されないなどのケースも多いかと思いますが、今回お伝えした代案で対応できますので、漏れなくきちんと経費にできるものは経費にしていきましょう!

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