経費帳とは、仕入にかかった費用以外の必要経費を勘定科目ごと記録した帳簿のことで、確定申告する人に作成が義務付けられています。
仕入れ以外にも、電気代や通信費、消耗品など事業に関係ある支出がある方がほとんどでしょうが、そのことを経費帳にきちんと記帳して申告することで税金も抑えられます。
今回は、節税対策にも欠かすことのできない経費帳の必要性や書き方、実際の作り方、どのような項目(勘定科目)が経費としてあつかえるのか?などを説明します。
この記事で分かること |
❶ 経費帳の役割と必要性 ❷ 実際の経費帳の作り方 ❸ 経費にできるもの一覧 |
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経費帳の役割と経費帳を作る理由
まず最初に、経費帳はどんな役割があるのか、また経費帳を作る理由について見ていきましょう。
経費帳とは使った経費をまとめておく帳簿
経費帳とは、販売目的で購入した商品代金(仕入)以外の必要経費を勘定科目ごとに記録した帳簿のことです。
必要経費とは、打合せに向かうためのタクシー代や取引先を接待するための飲食代など、所得を得るために使った費用と考えたらいいでしょう。
経費を使った場合には領収書などをもらっておくでしょうが、それと併せて使った経費を勘定科目ごとに分けて記録・管理する役割が経費帳にあります。
個人事業主の方であれば、誰だって意識したことがある経費。 しかし、実際は経費計上することがどれほど重要なのか?経費計上できる費用の種類にはどのようなものがあるのか?をしっかり理解している個人事業主の方も少ないのが現実では無いでしょうか[…]
経費帳は確定申告で作成が義務付けられている
経費帳がどういうものか分かっていただけたと思いますが、そもそも経費帳って作る必要があるのか気になるところですよね。
結果から申し上げますと、経費帳は作る必要があります。
個人事業主の方は確定申告をしなければなりませんが、確定申告の際にいくつか作成義務がある帳簿があり、経費帳はその中の補助簿の一つです。
確定申告には白色申告と青色申告がありますが、いずれの方法で確定申告をしても経費帳は作成しておかなければなりません。
経費にできる支払いをきちんと申告することで、結果的に税金も大きく抑えられるようになりますので、経費帳の付け方はしっかり覚えておきましょう。
経費帳の書き方3ステップと実際の記入例
それでは、こちらでは経費帳の書き方を例を交えながら説明していきたいと思います。今回は、一般的な簡易簿記での経費帳の書き方について説明していきたいと思います。
経費帳は勘定科目ごとに記入していく
経費帳は経費を使った順に上から書いていくのではなく、まず勘定科目ごとにページを分けてから日付順に記入していきます。
ですので、後でもご説明する勘定科目をある程度理解しておく必要があるのですが、会計ソフトを使えば自動で勘定科目を分別してくれるものもありますので、作業もラクになるかと思います。
経費帳と現金出納帳・預金出納帳はセットで記入する
経費帳への記入は、現金出納帳・預金出納帳に書いた内容を転記することが基本です。現金出納帳は事業用財布のお金の出入を管理する帳簿で、預金出納帳は銀行口座のお金の出入を管理する帳簿、いわゆる通帳のようなものです。
経費を使ったということは、事業用の現金か預金からお金を使ったことにもなりますので、現金(預金)出納帳はセットで記入することになりますね。
経費帳の書き方と一緒に現金出納帳・預金出納帳の書き方を知っておくことも大事です。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
現金出納帳(げんきんすいとうちょう)とは、事業用の財布や金庫で管理している現金の動き(入出金)を日付順に記録し現金残高を管理する帳簿で、確定申告で作成義務のある補助簿の一つです。 簡単に言えば事業用の家計簿のようなものですが、確定申告[…]
預金出納帳(よきんすいとうちょう)とは、預金の入出金を銀行口座ごとに記録した帳簿で、確定申告をする際に必要になる帳簿の一つでもあります。 商売には現金取引や掛け取引など色々な取引方法がありますが、今回は預金取引を記録する預金出納帳の役[…]
経費帳に書く項目と記入内容の説明
経費帳の書き方は、一度覚えてしまえば簡単で、家計簿のように『いつ・何に・いくら・どこから』使ったのかを書いていけば良いだけです。
こちらは消耗品費の経費帳の1ページの例ですが、それぞれ上から使っていった経費を書いていくだけです。書く内容は『日付・摘要(詳細メモ)・金額』の3つが分かれば良く、後は毎月の合計額も残しておきましょう。
摘要
摘要では、勘定科目だけでは分からない経費の詳細について記しておきます。消耗品費の場合、『何を買ったか』が分かれば良いでしょう。さらに言えば、『どこで買ったか』まで書いておくとより分かりやすいです。
旅費交通費や接待交際費などはプライベートの出費とも混同されやすく、税務署からも目を付けられやすい内容ですので、『誰と?何のために(用途)?どこで?』など、より詳細を残しておくように心がけましょう。
金額
金額は実際に使った経費の税込価格を書いていきます。今回は、『現金』『その他』で分けていますが、分けずに金額のみを残して記入する方法でも問題ありません。
毎月の合計
毎月が終わったら、経費帳にもそれぞれの勘定科目ごとに月の合計額を残しておきましょう。後から見直したときに『何月に○○費をいくら使ったか?』が分かりやすいですし、確定申告時の青色決算書や収支内訳書を書くときの参考書類にもなります。
経費帳の記入例
では、いくつか例を出しますので、簡易簿記での経費帳の書き方を覚えてみましょう。
- 6/10にテーブル50000円を現金で購入した。
- 6/15に電気代5000円が預金口座から引き落とされた。
- 6/20に○○㈱との打合せのため、タクシー代1000円を現金で支払った。
- 6/23に文房具代1000円を現金で購入した。
実際にはこのように色々な勘定科目をバラバラに使いますので、それぞれの勘定科目ごとに分けて記入していきます。
①~④を経費帳のそれぞれの科目ごとに記入すると以下のようになります。
消耗品費のページ
消耗品費
日付 | 摘要 | 金額 | |
現金 | その他 | ||
6/10 | テーブル | 50,000 | |
6/23 | 文房具 | 1,000 |
①のテーブルと④の文房具の勘定科目は消耗品費なので、中央に消耗品費と記入します。
水道光熱費のページ
水道光熱費
日付 | 摘要 | 金額 | |
現金 | その他 | ||
6/15 | 電気代 ○月分振替 | 5,000 |
②の電気代は水道光熱費になるので、水道光熱費と記入します。
電気代などの水道光熱費を自動引落しにしている場合は、摘要に○月分振替と記入しましょう。金額欄は預金口座からの自動振替なので、その他へ記入します。
旅費交通費のページ
旅費交通費
日付 | 摘要 | 金額 | |
現金 | その他 | ||
6/20 | タクシー代(○○㈱ △△行き) | 1,000 |
③のタクシー代は旅費交通費なので、旅費交通費と記入します。摘要欄は、○○㈱や行先も分かれば△△行きなどと記入しましょう。
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経費帳の作成方法 3パターン
実際に経費帳を作る日が来る前に、作り方を覚えておきましょう。
経費帳作成には大きく分けると3つの方法がありますのでご紹介します。
勘定科目も自動入力!会計ソフトで作成
一番簡単でおすすめなのが、会計ソフトで作成する方法です。エクセルや手書きよりも、簡単でラクに経費帳を作成することができます。
あまり簿記の知識がない方は、経費帳作成で不安に感じる点は勘定科目ではないでしょうか?
簿記が分かる方でも勘定科目を決めるのは悩むこともあるかと思いますが、最近の会計ソフトは銀行口座の履歴や領収書などを自動で取り込み、勘定科目を提案してくれる機能がついています。
書く手間や勘定科目を調べる手間も減り、かなりの時間短縮になるのでとてもおすすめです。
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「freeeの無料プランでできること」 「freeeの料金は?」 「freeeの評判は?」 |
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「MFクラウドが無料でできること」 「MFクラウドの料金」 「MFクラウドの評判は?」 |
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エクセルやテンプレートで作成
次にご紹介するのは、エクセルで作成する方法です。
手書きよりははるかにラクだと思いますし、手書きはノート代がかかりますが、エクセルは無料です。おまけに、無料でエクセルのテンプレートを提供してくれているサイトもありますので、手書きが面倒という方にはおすすめです。
参考:「テンプレートの無料ダウンロード 経費帳」
ノートに手書きで作成
昔ながらのやり方で、ノートに手書きする方法です。
経費を使わなければもちろん書く必要はありませんが、経費を全く使わない方はほとんどいないと思います。ましてや、帳簿は経費帳だけではないので、全てを手書きとなると結構大変になるでしょう。
でも、ものは試しで手書きしてみたいという方は、Amazonなどでも購入できますので試してみてください。
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以外と経費にできる!経費に関する基礎知識
経費帳の書き方や作り方いついてはだいたいお伝えしましたが、そもそもの経費に関する基礎知識について最後に簡単に説明しておきたいと思います。
経費の勘定科目はどんなものがあるの?
そもそも、経費帳に記入する『経費』にはどのようなものがあるのか?という話ですが、経費には『勘定科目』というものがあります。
勘定科目とは、簡単に言うと経費がどのようなことに使われたのかを分類分けした時の名称(通信費や交際費など)のことです。
経費帳には勘定科目を記入する必要があります。全部を暗記はする必要はありませんが、どんな勘定科目があるのか何となくでも分かっておいた方がいいです。
一般的な経費の勘定科目をまとめると以下のようなものがあります。
水道光熱費 | 水道・電気・ガス代など |
旅費交通費 | 電車・バス・タクシー・宿泊費など |
通信費 | 電話代・はがき・切手・インターネット代など |
消耗品費 | 文房具・用紙・ガソリンなど 使用期限が1年未満か取得価格が10万円未満の什器備品 |
接待交際費 | 取引先などとの飲食代・お歳暮の費用など |
広告宣伝費 | 広告費用 |
修繕費 | 店舗・自動車・備品などの修理費用 |
地代家賃 | 事務所・店舗などの家賃 |
租税公課 | 消費税・事業税・固定資産税・登録免許税・印紙税など |
従業者給与 | 青色申告の家族従業員に支払った給与 |
雑費 | その他(他にも勘定科目はありますがそれらにも該当しないもの) |
ただ、あくまでも経費と認められるものは、事業と関係があるものです。
家族旅行での交通費は経費として認められませんが、取材のために飛行機を使ったのであれば、経費と認められる可能性はあります。
ケースバイケースになりますので、具体的な経費については他の記事も参考にしてみてください。
個人事業主として確定申告などをされる方は、どのような経費があるのか?その種類について気になるところですね。 実際に経費には様々な種類があり、確定申告で提出する収支内訳書にも多くの経費の勘定科目があります。 今回は、個人事業主が経[…]
プライベート兼事業用の経費の場合の家事按分について
個人事業主の方は、自分のプライベートで使う物と仕事用に使う物が一緒になっている場合も多いのではないでしょうか?
よくあるものだと、携帯電話やインターネット料金などの通信費やパソコン購入などの費用です。
こういった支出の場合、家事按分(かじあんぶん)と言ってプライベート利用:事業利用の割合で割合を出して、事業に必要になった金額を経費計上することができます。
最近では、インターネットだけで仕事が完結する場合も多くありますので、自宅で作業(自宅を事業所)にしている方も少なくないかと思います。
その場合、自宅で毎月支払っている家賃も家事按分することができます。本来、プライベート目的で買ったものでも事業と関係あるものであれば、経費計上することができる可能性もありますのでしっかりと覚えておきたいですね。
家事按分(かじあんぶん)とは、個人事業主が事業用とプライベート用どちらにも該当する内容で支払いをした場合に支払いの一部を合理的な理由で経費として計上することです。 個人事業主の方には、自宅で作業をしていたり、携帯電話を仕事兼自分用とし[…]
レシートや領収書の重要性
「経費で落とすなら領収書は必要」ということは、会社員時代も事業主になった後でも認識されていると思いますが、その通りです。
言い換えるのであれば、経費帳に記入する内容は、領収書などの証拠が残っていないと記入できないということになります。
領収書を確定申告などで提出する必要はありませんが、もし税務調査が入った時などにきちんと説明ができるように保管しておかなければなりません。
領収書の保管期間
個人事業主の領収書の保管期間は以下の通りです。
帳簿保管期間 | 領収書等保管期間 | |
白色申告 | 7年 | 5年 |
青色申告 | 7年 |
最大7年分の領収書を保管となるとかなりの量になります。わざわざノートに貼り付けてきちんと整理して…、というようなことまでしなくても結構ですが、何年の何月分はどこにあるかくらいは分かるようにしておきましょう。
個人事業主の方は、領収書を保管しておかなければならないことはおおむね理解しているかとは思いますが、実際にどれくらいの期間をどれくらいきちんと整理して保管しておけばいいのか?という疑問があるかと思います。 そのようなことに頭を悩ませ、「[…]
領収書がない場合の対処法
もし領収書を失くしてしまったりそもそも領収書をもらわなかったものに関しては、基本的に経費帳へ記入できません。
ただし、電車代やバス代などの領収書が発行してもらえないケースもあるかと思います。そういった場合は、領収書の代わりとして出金伝票を記入すれば問題ありません。
出金伝票へは、日付、支払先名、金額、内容等を記入しましょう。
まとめ
以上、経費帳とは?経費帳を作る理由と書き方・作り方でした。
簡単にまとめると
- 経費帳をきちんと付けることで節税に繋がる
- 簡易簿記での経費帳の書き方は簡単だけど勘定科目をある程度覚える必要がある
- 会計ソフトで作れば勘定科目を調べる手間も省けて時間短縮になる
経費帳は補助簿とは言え、節税のためにとても重要な帳簿です。
確定申告で帳簿作成は義務ですが、簿記の知識はすぐに身に付くというものではありませんから、少しずつやりながら覚えていきましょう。
でもやっぱり確定申告が不安だという方は、無料でお試しができる会計ソフトを是非使ってみてください。
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その他の帳簿に関する記事一覧
確定申告で必要になる帳簿の種類は買掛帳だけではなく、他にも様々なものがあります。書き方などが気になる帳簿があれば併せてご覧いただければと思います。
記帳全般の内容
▼「帳簿にはどんな種類がある?」
▼「主要簿の目的や必要性は?」
▼「補助簿の種類や必要性とは?」
▼「簡易簿記とは?帳簿の書き方や作り方」
▼「複式簿記とは?複式簿記の重要性」
▼「青色申告で必要な帳簿の種類は?」
それぞれの帳簿について
▼「仕訳の基礎から仕訳帳の作成方法」
▼「総勘定元帳とは?仕訳帳からの転記方法」
▼「買掛帳の書き方・作り方を記入例付きで解説!」
▼「売掛帳の記入例付きの書き方と実際の作り方3パターン」
▼「預金出納帳の必要性と書き方」
▼「現金出納帳とは?書き方・作成方法」
▼「固定資産台帳を作る目的と必要性は?」