青色申告は、青色申告特別控除や赤字の繰り越しなど、主に節税面でのメリットが多い確定申告の方法です。
もともとそのようなメリットが多い青色申告ですが、その代わりに事前申請をして「しっかり記帳や申告をしていきます」というような約束をします。
しかし、その約束を守らずしっかり帳簿作成や確定申告ができていないと青色申告が取り消されてしまうケースがあります。
今回は、どのような時に青色申告が取り消されて、取り消されることでどのようなデメリットがあるのか?取り消し後の再申請の方法はどうするのか?などをお伝えしていきたいと思います。
この記事で分かること |
❶ 青色申告が取り消されてしまう行為 ❷ 青色申告が取り消されるデメリット ❸ 青色申告が取り消された時の再申請の方法 |
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青色申告が取り消されてしまうケース
それでは早速、どのような時に青色申告が取り消されてしまうのかをご紹介します。
冒頭でもお伝えしたように、簡単にまとめるとしっかり帳簿作成や確定申告ができていないときに取り消されてしまうことがあります。
2年続けて確定申告の期限を過ぎてしまう
確定申告の期限は3月15日だということはご存知でしょうが、青色申告の方がこの確定申告の期限を2年(2期)続けて遅れてしまうと青色申告が取り消されてしまいます。
病気や事故など、どうしても確定申告ができない事情があった場合は事情を考慮してくれますが、特に理由なく2年続けて確定申告の期限を過ぎてしまった場合は青色申告が取り消されてしまうということを覚えておきましょう。
なお、青色申告には65万円控除もありますが、期限を過ぎた年は1回目でも65万円控除を受けられなくなります。
帳簿の作成をしていないことが分かった時
青色申告にかかわらず、確定申告では帳簿の作成が義務ですが、税務調査などで税務署から帳簿の提示を求められたときに提示できない。つまり作っていなかったり保管期間中に保管していなかった場合に青色申告が取り消されてしまいます。
青色申告での帳簿の保管期間は7年間となっています。確定申告から数年経ったからと言って帳簿を捨てたり失くしたりしないようにしっかり管理して保管しておきましょう。
税務署は確定申告が終わった年の数年後に訪れるようなことも往々にしてあります。
所得の隠ぺいや欠損金の偽装
悪質なケースですが、本来の所得より低く申告したり、欠損金(赤字・経費)を多く偽装して申告して、そのことが発覚した場合にも青色申告が取り消されます。
また、故意に偽装して所得を低くするなどして税金を下げようとする行為は悪質なので、罰則的な意味合いで追徴課税という余計な税金が上乗せされて徴収されることもあり得ます。
目先の税金を減らすために嘘を付いて所得を減らすことは絶対にNGです。いずれ自分にしっぺ返しが返ってくるということを肝に銘じておきましょう。
帳簿の不備で所得の計算ができなかった場合
意図して所得を減らしていなくても、帳簿の内容に不備があって、推計によらなければ正しい所得金額の計算ができない場合も青色申告が取り消されてしまうことがあります。
青色申告(特に複式簿記)では、少し難しい記帳方法で帳簿を作っていく必要があります。初めて帳簿を作ったり、簿記知識が無い方は、会計ソフトなどを使って計算ミスが無いようにしっかり確認しながら帳簿作成したり、それでも不安な方は一度税理士などに確認してもらうと良いでしょう。
特に所得が多い方が帳簿を間違っていると、正しい納税額との差額が大きくなる可能性も高くなってくるので、確認は怠らずにしっかりしておきましょう。
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青色申告が取り消されるデメリット
以上が青色申告が取り消されてしまうような行為です。
お伝えしたように、帳簿作成や確定申告をきちんとやっていないと青色申告が取り消されてしまうことにもなりかねないということですね。
それでは、青色申告だった方が青色申告を取り消されてしまうとどのようなデメリットがあるのでしょうか。
こちらでは青色申告が取り消されてしまうデメリットについてお伝えしていきたいと思います。
白色申告になるデメリット
青色申告にメリットが多いと分かっていたから青色申告にしていたのでしょうから、青色申告が取り消されることによって、青色申告のメリットが受けられなくなります。言い換えると白色申告のデメリットを受けてしまうという事です。
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「青色申告にすることのメリット」
青色申告特別控除が受けられなくなる
青色申告ではなくなるのですから、当然青色申告特別控除も受けられなくなります。
青色申告特別控除は10~65万円とありますが、これが減ることによって税金も数万~十数万円程度増えることになってしまいます。
欠損金が繰り越せなくなる
青色申告では欠損金(赤字)を繰り越して翌年以降の所得から引くことができますが、青色申告が取り消されると赤字繰り越しもできなくなります。
赤字が多い業態の方で、このメリットが無くなってしまうとかなり大きなダメージですので、青色申告が取り消されることが無いようにしっかり確定申告を済ませましょう。
経費にできる範囲が狭まる
青色申告では、専従者給与・家事按分・減価償却資産など、経費にできる範囲も白色申告に比べると広いです。
青色申告が取り消されて経費にできる内容が少なくなると、所得も上がって税金が増える可能性も高くなります。
過去分の申告内容もさかのぼって修正されることもある
また、気を付けなくてはならないものが、数年前の確定申告の不備が原因で、その年以降の確定申告が全部白色申告になってしまう可能性も出てくることです。
特に上でもお伝えした、所得の隠ぺいや欠損金の偽装、帳簿の不備などでは発覚が遅れて数年前のものまでさかのぼって修正される可能性も高くなります。
青色申告特別控除や欠損金の繰り越しなどを含めたうえで数年分確定申告していた方は、数年分の確定申告が白色申告になってしまうことで一気に数十万円分の税金が足りていなかったという事態にもなりかねません。
1年間青色申告の申請ができない
次の項目で詳しくお伝えしますが、1度青色申告が取り消されてしまうと、1年間青色申告の申請をすることができなくなります。
つまり、次回~次々回の確定申告も白色申告でしなくてはならなくなってしまうという事です(再申請の期限の関係上、次々回まで青色申告できなくなります)。
1度青色申告が取り消されると金輪際青色申告ができなくなるというわけではありませんが、それでも青色申告のメリットが多いゆえに白色申告で確定申告をする年が増えるということは避けたいですね。
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青色申告が取り消された時の再申請の方法
青色申告が取り消されてしまう時は『青色申告の承認の取消通知書』というものが届きます。
青色申告が取り消されてしまっても、再び青色申告の承認を受けることは可能なのですが、以下の決まりに従って再申請をしなくてはなりません。
取り消し後は1年間再申請ができない
上でもお伝えしたように、青色申告が取り消されてしまうと1年間青色申告の承認申請をすることができなくなります。
青色申告承認申請書の提出期限は、確定申告をする年の3月15日まで(つまり前回の確定申告の期限まで)と早いため、結果的に次回の確定申告と次々回の確定申告の最低でも2年分の確定申告は白色申告で行わなければならないことになります。
当然その間は青色申告特別控除や欠損金の繰り越しなど、青色申告だから受けられた恩恵を受けられなくなってしまいます。
再申請も青色申告承認申請書を提出する
一度青色申告が取り消されてしまった時の再申請も、青色申告の承認申請を受けた時のように『青色申告承認申請書』を税務署まで提出します。
ご存知でしょうが、青色申告承認申請書の提出期限は確定申告をする年の3月15日までと、かなり早いです。さらに上記の通り1年間申請ができなくなりますので、2年分の確定申告は白色申告になってしまうという事です。
再申請ができる期間になったら提出期限を遅れることなく再び青色申告承認申請書を提出しましょう。
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「青色申告承認申請書の提出期限」
まとめ
今回は、青色申告が取り消されてしまうケースについてお伝えしました。
何度かお伝えしているように、帳簿を作成していない、不備があるなどしてしっかり帳簿作成ができていない場合や、確定申告の期限を2回連続で過ぎてしまうと青色申告が取り消されてしまうことになります。
メリットが多いことが分かっていてせっかく青色申告にしているのでしょうから、取り消されてしまうことが無いようにしっかり帳簿作成や確定申告を行っていきましょう。
また、万が一青色申告が取り消されてしまったという方は、1年間青色申告の再申請ができなくなりますが、再度青色申告にすることは可能です。再申請ができる時期になったら、期限を過ぎてしまわないよう早めに青色申告承認申請書をもう一度提出しましょう。
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