飲食店を開業したいと思った時、第一の壁は資金調達だと思います。飲食店の開業は開業資金も大きくなりがちなので、いきなり自己資金だけで賄うことができずに融資を考えられている方も少なくないでしょう。
開業しようとしているお店の規模や業態によっても必要資金は変わりますが、開業資金の相場を見てみても1,000万円程度の資金調達はしておきたいところです。
著者自身も飲食で働いていて、独立したいと考えた時に一番困りました。著者の場合、実際に1,500万円の開業資金がかかりましたが、今回は、開業をするための資金調達方法や融資制度にフォーカスを当てて、みなさんに情報を届けられればと思っております。
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飲食開業で使える融資の方法5つ
知人から借りたり、制度を利用したり方法は様々ですが、実際に融資をメインとした資金調達の方法には以下の5つがあります。
- 親族から借りる・協力してもらう
- 金主・知人から借りる
- 国民政策金融公庫から借りる
- 地方銀行や信用金庫の融資制度を利用する
- 助成金・補助金を利用する
それでは、それぞれの資金調達の方法をご説明していきましょう。
開業時の融資その1|親族から借りる・協力してもらう
これはそのまま、ご自身の家族からお金を借りたり出してもらうというものです。しかし「金の切れ目は縁の切れ目」「親しき仲にも礼儀あり」というように、返済の有無や期間など紙やデータで管理をすることが大事です。
ここで「返済の有無」と記載した理由は、親族関係からの返済義務の無い借り入れであれば「自己資金」として認定される場合が多く、それを元に他の融資制度から資金調達ができる(他の融資制度には借入額などの制限があります)可能性があるからです。
実際に借りられる金額
これは家の事情もあるでしょうから、はっきり言ってピンからキリです。
ただ、あなたが未婚の場合、ご両親や祖父母が結婚資金を用意していたり、マイホーム購入資金を用意しているケースも少なくありません。
学資保険などに加入しており、その満期返戻金などが残っている場合もあります。それら資金を開業資金に回してもらえれば数百万円を用意することも可能でしょう。
しかし、親族と言えども、開業して経営の軌道に乗せるまでの事業計画と返済計画をきちんと提示して資金の協力を得るようにしましょう。
「自己資金」扱いにできれば他の融資制度も利用できる
血縁関係がある親族からの借り入れは、場合によっては「自己資金」扱いにでき、他の融資制度も利用することが可能になります。
- 血縁関係の親族から返済義務なしのお金 → おおよそ大丈夫
- 血縁関係の親族からの返済義務ありのお金 → NG
- 血縁関係の親族からの出世払い → 面談時による
実際に著者は親からの出資と自己資金を足したものを「自己資金」として申請し認定されました。
借り入れ時の注意点
繰り返しますが、たとえ親族であってもいい加減な気持ちでお金を借りないようにしましょう。お店を開業するためにお金を借りることは悪いことではありません。無計画に借りて返せなくなることが問題です。
必ず、貸してくれる人に対して誠意と、事業計画と返済計画の計画性を示すようにしましょう。事業計画や返済計画は他の融資制度を利用する際にも必要になってきますので、まずは、身内からお金を借りる段階からきちんと準備しておくことをおすすめします。
開業時の融資その2|金主・知人から借りる
これはご自身の人望やネットワーク、そして実績によると思いますが、長年飲食店をやっていると、先輩の飲食店オーナーやお客さん、仕入先など業者さんの知り合いなど、融資をしてくれる人を紹介してくれる場合もあります。
「飲食店で独立したい」と言った時に、喜んで応援してくれる人も案外いるのです。
実際に借りられる金額
こちらも同じく、上限や金利などが決められているわけではありませんので、借りようと思えばいくらでも貸してくれる人はいるでしょう。1店舗を開業できる資金を全部出してくれるということもゼロではないです。
こちらも同じく誠意と計画性を示すようにしてください。
借り入れ時の注意点
ここで気をつけたいのは、1で紹介した親族からの資金調達とは違い「金主・他人からの資金調達は自己資金とはならず、他の融資制度が利用できない」というポイントを理解しましょう。
過去に見せ金(開業融資を受ける時だけ借りて、融資が降りたらすぐ返すお金)として融資に利用しようとする人が多く、かなりチェックは厳しいのです。
また「お金を貸す」と言ってあなたに近づき、法外な金利を要求したり、証拠金を先に徴収して持ち逃げするような悪質な業者がいることも事実です。全く知らない人が「お金を貸す」と近づいてきた場合は、慎重になるようにしましょう。
開業時の融資その3|日本政策金融公庫を利用する
身の回りだけでは資金調達が難しい場合、日本政策公庫の融資制度の利用から検討していきましょう。
日本政策公庫とは、財務省が管轄する中小企業や起業家を支援するために融資を行っている金融機関です。他の金融機関から借り入れをするよりも圧倒的に低い金利で借りることができるのが魅力的です。
新創業融資制度
その名の通り、新たに創業を始める方に向けての貸付を行っている制度で、借入額の上限は3,000万円、金利は年間1~2%前後と非常に格安です。
担保や保証人も原則的に不要の非常に頼もしい制度ですが、制度利用を認めてもらうためにきちんとした事業計画を作成して提出しなければなりません。
参考:「新創業融資制度」
女性、若者/シニア起業家支援資金
新創業融資制度のうちの一つで、新たに事業を開始するもしくは事業開始から7年以内の35未満/55歳以上または女性の方が利用できる制度です。上限額は7,200万円。金利は1~2%ほどです。
参考:「女性、若者/シニア起業家支援資金」
一般貸付(生活衛生貸付)
生活衛生関係の事業を営む方が設備資金として借り入れることができる融資制度です。飲食店の場合、7,200万円まで借り入れることが可能です。
参考:「一般貸付(生活衛生貸付)」
中小企業経営強力化資金
こちらは、すでに経営を行っている方が異分野を開拓する際に利用できる制度です。会計士や税理士などの認定経営革新等支援機間の指導を受けている必要があります。
参考:「中小企業経営強力化資金」
オススメは新創業融資制度、中小企業経営強力化資金です。新創業融資制度は無担保で1,000万円、中小企業経営強力化資金は2,000万円の融資枠がありますので必要に応じて使い分けましょう。
融資が降りるまで約1ヶ月かかりますので、物件などの契約と並行しつつ支払タイミングと融資のタイミングをきちんと合わせましょう。
著者は最初誰にもアドバイスを貰わず『新創業融資制度』で1,000万円を借りることができましたので、専門家の力を借りなくても融資を受けることは可能です。
そして、今さらに出店を進めている中で税理士さんと融資を受けるために行動している制度は中小企業経営強力化資金です。
認定経営革新支援機関から協力してもらうメリット
認定経営革新支援機関(認定支援機関)とは、弁護士や公認会計士、税理士などの専門的な知識を持つ人物のサポートによって事業者が安定して経営をしていくことを目的として作られた支援機関です。
特に、認定経営革新等支援機関と協力しながらの融資を申請する「中小企業経営強力化資金」には、他の金融機関からの借入と比べても様々なメリットがあります。
利率が新創業融資制度より安い
利率が他の融資制度よりも約1%違います。たかが1%と思うかもしれませんが仮に2,000万円を借り、返済期間が長ければ数十〜数百万円という利子の差になります。
仮に顧問税理士を雇って年間50万円がかかったとしても、利息の差分を差し引けば十分に元は取れるかと思います。
手間が省ける
お金を借りるときには、自分で金融機関に行かなければなりません。審査が通るまで何度も足を運ぶことになります。開業準備を進めながら金融機関に毎回通うことはハッキリ言って手間です。
しかし、認定経営革新等支援機関の支援がついている「中小企業経営強力化資金」は、認定経営革新等支援機関の専門家が代行することが可能なのです。
開業準備は、お金以外にも物件、人材、その他準備など本当に大変なので金融機関とのやり取りを代行してもらえることはとても助かります。
他にも面談時の同行や、無担保や保証人不要などメリットが本当に多いです。「中小企業経営強力化資金」で重要なポイントを占める専門家選びに関しては慎重に行ってください。
まずは無料で結構ですので、実際に相談してみることから始めてみましょう!
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税理士は記帳や確定申告などの実務を代行してくれるだけでなく、税理士ならではの観点で経営のアドバイスをもらえたりもしますので、一度相談してみることをおすすめします。税理士ドットコムでは、費用やお悩み内容に応じた適切な税理士を紹介してくれます。無料で利用できますので試しに使ってみてはいかがでしょうか?
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開業時の融資その4|地方銀行や信用金庫の融資制度を利用する
一応、地方銀行や信用金庫からの融資制度を利用することも可能ですが、これは開業時にはオススメしません。なぜなら融資までのスピードが遅く、準備や手間もかかりすぎるからです。
準備から審査結果が出るのに最低2ヶ月は見てください。飲食店への融資の場合、営業許可書が発行されることを条件に融資が実行されるケースが多いようですが、営業許可書が発行されて工事完了していればすぐに営業ができる状態なのです。
それでは、開業時に必要な資金調達にはならないです。遅すぎます。
運転資金などを調達するのであればまだいいですが、開業資金を用意するのであれば、こういう方法があるよ程度で覚えておけばいいかと思います。
開業時の資金調達|助成金・補助金を利用する
こちらは融資ではないのですが、レジの助成金やキャリアアップ助成金など、ピンポイントな物やシステム導入に対して利用できます。
助成金で開業資金全部を賄うことは当然無理ですが、店舗運営を大きく助けてくれるものになりますので、使えるものはドンドン使っていきましょう。
レジや受注システムの補助金
正確には「軽減税率対策補助金」といいますが、POSレジや発注システムを導入する際にレジ1台あたり20万円1事業所あたり最大200万円の補助金をもらえます。タブレット端末やスマートホン端末のレジシステムにも対応しています。
レジ導入の際は対象かどうか確認してみましょう。必要な準備もありますが、ほとんどレジの取り扱い業者がやってくれますのでぜひ活用しましょう。詳しくは以下のリンクをご覧ください。
参考:「軽減税率対策補助金」
創業補助金・キャリアアップ助成金
開業時に利用できる創業補助金や、いずれ従業員を増やしていった時のキャリアアップ助成金など、飲食店経営で利用できる助成金・補助金は他にも多くあります。特に創業補助金は、飲食業界であれば審査もかなり通りやすいのでチャレンジする価値はあります。
最大200万円の補助金を受けることもできます。社労士さんを通さないと申請できない制度が多いので一度相談してみましょう。
「借りる」だけではなく「削減する」ことも考えよう
もちろんすでに検証済みの方が大半だとは思いますが、「借りる」ことにばかり思考が向きすぎていて「減らす」ことをないがしろにしていたりしませんか?
「あと100万円用意できれば開業できる」という発想を一度「あと100万円削減できないだろうか?」に切り替えてみましょう。意外な無駄が見つかるかもしれません。
開業資金の多くを占める箇所としては
- 物件取得費用
- 内装などの工事費用
- 設備・備品費用
- 商品仕入れ・運転資金
があります。どこかに無駄がないかを一度探してみましょう。詳しくは以下の記事をご覧ください。
【関連記事】
「飲食店の開業資金を抑える4つのポイントとコツを解説」
まとめ
いかがでしょうか?
飲食店の開業には多額な資金が必要になります。決して融資を受けることそのものが悪いわけでは全くありません。考え方の幅を広げることで案外できることも見えてくるのではないでしょうか?
この知識を知っているかどうかで開業までのハードルの高さはだいぶ変わってくると思います。
何百~何千万円と飲食店の作るサイズや業態によって変わってきますが、今後「経営者」としてやっていくならばお金の知識は必須です。
最後に、融資制度では今までの公共料金や家賃、税金などの支払いはしっかりとしている人なのかどうかなども見られます。日頃からお金にルーズな人は絶対に不利なので、今後独立や開業を目指しているならばお金の管理、自分自身のスケジュール管理など徹底的に意識していってください。
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