諸口(しょくち)とは?諸口を使うケースと諸口を使った帳簿の付け方

諸口(しょくち)とは、「取引相手(口座)が複数あります」という意味があり、仕訳帳から総勘定元帳に転記する時に借方・貸方どちらかの勘定科目が複数になる場合に使います。

複数の勘定科目をまとめて書くようなケースで出てきますので、1つの取引に対して1行で帳簿を書いていく単一仕訳で使うことが多くなります。

逆を言えば、1つの取引でも複数の行を使って記帳していく複合仕訳では使う場面も少ないので、実務での帳簿作成で諸口が登場するシーンは限られているかと思います。

今回は、諸口の使い方や記帳の方法、諸口と大きく関係してくる『単一仕訳』と『複合仕訳』の違いについて解説をしていきたいと思います。

この記事で分かること
諸口の意味と役割
諸口を使った帳簿の付け方
諸口をよく使うケース

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諸口とは?諸口の意味と役割

冒頭でもお伝えしましたが、諸口(しょくち)とは、1つの取引で複数の勘定科目がある場合に、「取引相手(口座)が複数あります」という意味で勘定科目の欄に記入しておく言葉で、主に仕訳帳から総勘定元帳に転記する時に使うことがあります。

「諸(もろもろの)」「口(勘定口座)」を意味します。お伝えのように、「複数の取引相手(口座)があります」という意味ですね。

諸口は勘定科目ではない

ちなみに、諸口は勘定科目の欄に記入はしますが、勘定科目ではないので、特定の「何かに費用を使った」「どこから費用を出した」といった意味を表しません。

諸口を使った『単一仕訳』と使わない『複合仕訳』との記帳方法の違い

諸口は、1つの取引に対して一行で帳簿を付けていく単一仕訳の場合に使うケースがありますが、1つの取引でも複数の行を使って帳簿を付けていく複合仕訳の場合は使うことはほぼありません。

例えば、銀行振込をした場合、通常であれば『支払い料金』+『振込手数料』が発生しますが、これがまとめて支払われている場合に単一仕訳で記帳しようとすると、支払い料金も手数料もそれぞれ1行に記録することになります。

そうなった時に、片方の勘定科目に対する勘定科目がなくなりますので、諸口を使って代用するのです。

もっと詳しく

複合仕訳とは、1つの取引を複数の行で仕訳けていくやり方で、例えば家事按分などで1つの支払いに対して複数の勘定科目がある場合に使います。 反対に、このような1つの取引で複数の勘定科目などがある場合でも、1行で1取引を仕訳けていく方法を単[…]

複合仕訳 アイキャッチ

諸口を使う『単一仕訳』の記帳例

例えば、備品購入のために銀行口座から1万円を振り込んで200円の手数料が発生した場合、銀行から出ていくお金は10,200円に対して、使い道は支払い料金と手数料の2種類に分かれます。

この取引を1つにまとめて記帳したい場合に、下のように諸口を使って記帳していきます。

借方勘定科目 借方 貸方勘定科目 貸方
諸口 10,200 預金 10,200
消耗品費 10,000 諸口 10,000
支払手数料 200 諸口 200

貸方と借方の数字は同じにして、それぞれ対になる勘定で空いている部分に諸口が登場してきます。

単一仕訳とは?

単一仕訳とは、1つの取引きに対して1行で記帳していく方法となります。上記のように1度の支払いで2つの勘定科目がある場合には、行を分けて記帳していく必要があります。その際の対になる勘定科目がない場合に諸口を使うのです。

諸口を使わない『複合仕訳』の記帳例

一方で、同じ取引内容でも、諸口を使わない複合仕訳の場合は以下のような記帳方法になります。

借方勘定科目 借方 貸方勘定科目 貸方
消耗品費 10,000 預金 10,200
支払手数料 200

複合仕訳とは?

複合仕訳は、1つの取引でも複数の行で記帳を行います。今回の例のように借方が2種類の勘定科目に分かれる場合、借方を2行に分けて貸方は1行のままで記帳します。

単一仕訳のように、片方の勘定科目が空欄になるようなことがありませんので、諸口を使う必要も出てこないのです。

諸口を使って帳簿を付ける手順

こちらでは、実際に諸口を使って帳簿を作成していく時の手順と考え方についてご説明していきます。

下のよくあるケースでもご紹介しますが、『家事按分』の場合は、1つの取引が事業用とプライベート用の複数の支払いとなるので、諸口を使う必要が出てきます。

例えば、10万円の家賃を払って、そのうち4万円を事業用(地代家賃)、6万円をプライベート用(事業主貸)とすると以下のような帳簿になります。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
諸口 100,000 預金 100,000
地代家賃 40,000 諸口 40,000
事業主貸 60,000 諸口 60,000

こちらを順を追って説明すると、以下のような考えで帳簿を作っていきます。

①預金から家賃が引き落とされたことを記帳|『借方勘定科目』に諸口

借方勘定科目 借方 貸方勘定科目 貸方
諸口 100,000 預金 100,000

まず、一番上に銀行口座から、預金の10万円が減ったことを貸方の項目に記入します。対して、借方は下でそれぞれ分解した勘定科目を書いていきますので、まずは諸口で代用します。

②家賃の一部を地代家賃にすることを記録|『貸方勘定科目』に諸口

地代家貸 40,000 諸口 40,000

地代家賃と事業主貸のどちらからでも良いのですが、まずは地代家賃を借方に記入します。対して、貸方で地代家賃と同じ金額の4万円が減った旨を書いていきます。

貸方では、上の行ですでに預金が10万円減ったことは書きましたので、こちらの行では諸口を使います。

③一部を事業主貸にすることを記録|『貸方勘定科目』を諸口

事業主貸 60,000 諸口 60,000

上と同じく事業主貸6万円を左の借方に書き、右側の貸方に同じ金額を記入します。こちらもすでに預金から10万円を使ったことを書いていますので、貸方では諸口を使って代用します。

諸口の登場がよくあるケースと帳簿の書き方例

最後に、事業をやっていて諸口がよく登場してくるケースを2つご紹介します。

家事按分|事業用とプライベート用両方の支払いになる場合

上でもご説明した通り、1つの支払いで事業用と事業主個人用の用途がある家事按分の場合、諸口を使って記帳する場合があります。

例えば、家賃10万円で4万円を事業用(地代家賃)、6万円をプライベート用(事業主貸)とする場合、10万円の1度の支払いに対して2つの勘定科目がありますね。

これを諸口を使って帳簿を付けると、以下のようになります。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
諸口 100,000 預金 100,000
地代家賃 40,000 諸口 40,000
事業主貸 60,000 諸口 60,000

家事按分をすると、このように事業用とプライベート用に勘定科目が分かれますので、単一仕訳では諸口を使うことになります。

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家事按分 イメージ

手数料など生じた場合

こちらも例でも挙げましたが、振込みなどで手数料が発生した場合も1度の支払いで複数の用途があるので、諸口を使うようになります。

ただし、あくまでも手数料込みで1回の支払いで済まされている場合のみで、料金と手数料を別に支払っているケースでは諸口の必要はありません。

支払いがまとまっていて諸口が必要なケース

借方勘定科目 借方 貸方勘定科目 貸方
諸口 10,200 預金 10,200
消耗品費 10,000 諸口 10,000
支払手数料 200 諸口 200

先にもご説明しましたが、このような記帳方法ですね。

支払いが別々で諸口が不要なケース

借方勘定科目 借方 貸方勘定科目 貸方
消耗品費 10,000 預金 10,000
支払手数料 200 預金 200

銀行通帳などを見て、料金と手数料がそれぞれ別で支払われている場合には、諸口を使う必要はありません。

まとめ

今回は、諸口について、どのようなケースで使ったり実際にどのように帳簿を付けていくのかをご説明していきました。

要点をお伝えすると、諸口(しょくち)とは、「取引相手(口座)が複数あります」という意味があり、仕訳帳から総勘定元帳に転記する時に借方・貸方どちらか1つの勘定科目に対して複数の用途がある場合に、単一仕訳で1取引を一行で記帳したい時に諸口を使って代用します。

そもそも複合仕訳を行う場合は諸口を使うケースはありませんが、単一仕訳では使うこともありますので、今回ご説明した内容を思い出していただければと思います。

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