複合仕訳とは、1つの取引を複数の行で仕訳けていくやり方で、例えば家事按分などで1つの支払いに対して複数の勘定科目がある場合に使います。
反対に、このような1つの取引で複数の勘定科目などがある場合でも、1行で1取引を仕訳けていく方法を単一仕訳と言います。
複合仕訳には、取引内容が分かりやすく記録できて、仕訳の数も少なくスッキリなるというメリットがあります。
今回は、複合仕訳の特徴や帳簿の付け方などをお伝えしていきますので、ぜひ簡潔で分かりやすい帳簿作成を目指してみてください。
この記事で分かること |
❶ 複合仕訳と単一仕訳の違い ❷ 複合仕訳のメリット・デメリット ❸ 複合仕訳での帳簿の付け方 |
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複合仕訳とは?|単一仕訳との違い
冒頭でもお伝えしましたが、複合仕訳とは、1つの取引を複数の行を使って記録していく仕訳のやり方です。
例えば1万円の消耗品を現金で買ったとすれば、1万円で消耗品を購入して、財布から現金1万円が出ていったとして
借方勘定 | 借方 | 貸方勘定 | 貸方 |
消耗品費 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
と、仕訳帳に記入することができますね。
これならシンプルな1行で1取引の記帳方法なのですが、もしも銀行振込などで手数料が別に300円発生した場合、預金から10,300円引かれたことに対して、消耗品費と手数料という二つの勘定科目に分かれることになります。
これを複合仕訳で記帳すると、
借方勘定 | 借方 | 貸方勘定 | 貸方 |
消耗品費 | 10,000 | 預金 | 10,300 |
支払手数料 | 300 |
このように、1つの取引を2行以上で記帳していくことを複合仕訳と言います。
単一仕訳との違い
一方で、1行で1取引を記帳していく方法もあります。冒頭でもお伝えした単一仕訳です。
上で例に挙げた300円の手数料が発生した場合を単一仕訳で記帳するとこのようになります。
借方勘定 | 借方 | 貸方勘定 | 貸方 |
諸口 | 10,300 | 預金 | 10,300 |
消耗品費 | 10,000 | 諸口 | 10,000 |
支払手数料 | 300 | 諸口 | 300 |
このように、諸口を使って空いている勘定科目は代用しながら、1行には1つの取引で貸方と借方の数字を揃えていきます。
こちらの単一仕訳の方がパッと見で分かりにくいですし、記入する行数も増えていくことになりますので、著者個人的には複合仕訳の方が分かりやすくておすすめです。
【関連記事】
「諸口(しょくち)とは?諸口を使うケースと記帳の方法」
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複合仕訳をするメリット・デメリット
ここまで複合仕訳の特徴と単一仕訳の違いをお伝えしましたが、こちらでは複合仕訳を使うメリット・デメリットをまとめてみたいと思います。
複合仕訳のメリット
まずは複合仕訳のメリットから。
パッと見て分かりやすい
上で実際に複合仕訳と単一仕訳を例に出して書いてみましたが、どうでしょうか、複合仕訳の方が見やすかったのではないかと思います。
単一仕訳だと、諸口がたくさん出てきますし、行数も多くなりますからね。
仕訳数が減る
上と同じく、単一仕訳のように行をそこまで増やさずに記帳できますから、単純に仕訳数が減って作業量も減ります。
複合仕訳のデメリット
次に複合仕訳のデメリットには以下のものがあります。
総勘定元帳に転記した時に分かりにくい
一方で、複合仕訳のデメリットは、仕訳帳から総勘定元帳に転記した時に勘定科目の内容が分かりにくいというデメリットがあります。
総勘定元帳は仕訳帳を基に勘定科目ごとに転記していく帳簿で、通常の1対1の取引では相手勘定も勘定科目が記入できるのですが、複数ある場合、相手勘定が「諸口」になります。
諸口とは、言わば「まとめます」というような何かを特定するような勘定科目ではないので、何にお金を使っているのかが分からなくなってしまいます。
摘要や会計ソフトのメモ機能などでしっかり補足をしておくと後で困ることも少ないでしょうが、結局複合仕訳でも単一仕訳で出てきた諸口が登場してきて分かりにくくなることはデメリットですね…。
【関連記事】
「諸口ってなに?総勘定元帳」
複合仕訳の帳簿の付け方
上でも複合仕訳で実際に仕訳けてみた時の仕訳帳の書き方例は登場したのですが、こちらではもう少し詳しく複合仕訳での帳簿の付け方について解説してみたいと思います。
なお、帳簿を作るにあたって会計ソフトを使っている(検討している)方も多いでしょうから、会計ソフトでの複合仕訳のやり方も併せて簡単にご説明します。
帳簿の書き方の基本的なことについては以下の記事を参考にしてみてください。
【関連記事】
「帳簿にはどんな種類がある?書き方・作り方」
「仕訳の基礎から仕訳帳の作成方法」
自分で帳簿を作る時の複合仕訳のやり方
上の例でも出した、1万円の消耗品を購入して、300円の手数料がかかった場合を想定してみましょう。
まずは仕訳をする
今回の例で起きたお金の動きとしては、
- 消耗品を1万円で買った
- 手数料300円が発生した
- 預金が10,300円減った
という3つの事がありますね。これを借方・貸方に分けていきます。
今回は「費用」と「資産」の要素を使います(簿記の5要素が分からない方は仕訳の基礎をご覧ください)。
- 消耗品費:費用
- 手数料:費用
- 預金:資産
「費用」も「資産」も基本ポジションは借方ですが、資産である預金は減っているので反対側の貸方の位置にきます。ちなみに費用の2つは増えた(発生した)ので、そのまま借方のポジションで問題ありません。
借方 | 貸方 | |
消耗品費 | 10,000 | |
支払手数料 | 300 | |
預金 | 10,300 |
仕訳帳に記入していく
仕訳けた内容を基に仕訳帳に複合仕訳で記入していきましょう。
仕訳帳には、
- 日付
- 借方勘定科目
- 借方金額
- 貸方勘定科目
- 貸方金額
- 摘要
を記入しますが、日付と適用は今回省きます。
貸方勘定 | 貸方 | 借方勘定 | 借方 |
消耗品費 | 10,000 | 預金 | 10,300 |
支払手数料 | 300 |
お伝えの通り、複合仕訳では1行で複数の勘定科目を使いますから、上のように記入ができるというわけです。
会計ソフトで複合仕訳を付ける方法
それでは、こちらでは会計ソフトを使った複合仕訳のやり方をお伝えします。
会計ソフトごとに使い方は違ってきますが、今回はfreeeを使った複合仕訳をやってみたいと思います。
freeeは、口座連携で自動で取引内容を抽出してくれますが、今回は手動で取引記録を行っていきたいと思います。
口座連携で自動で抽出された取引内容も「行を追加する」とこで複合仕訳にできますので、参考にしてみてください。
いったん取引を登録
まず、freeeの上部にあるメニューの「取引の一覧・登録」をクリックすると上のような画面になりますので、いったん銀行口座から10,300円が消耗品費として引き落とされたことを手動で入力します。
登録後に編集
登録するとこのように一覧に表示されますので、編集したい行をクリックします。
支出のところに『行を追加』とありますので、こちらをクリックしましょう。
行が増えて支払手数料の勘定科目と金額も入力できるようになりました。後は、支出と決済金額が合っているかを確認して保存しましょう。
ちなみに、この時消耗品費を10,300円のままで支払手数料を300円追加してしまったら、下の決済金額が10,600円に変更されてしまいますので、間違って保存してしまわないように気を付けましょう(まあ、間違っても後から編集はできますが)。
仕訳帳で確認する
メニューの「レポート」→「仕訳帳」を見てみると、先ほど登録・編集した内容が自動で仕訳帳に転記されて載っています。
このように複合仕訳の形で仕訳帳が作られていますね。
以上がfreeeでの複合仕訳のやり方でした。色々説明しましたが、やはり一番は実際に使って触ってみることですので、ぜひ一度登録して使ってみてください。
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まとめ
今回は、複合仕訳の特徴ややり方についてご説明していきました。
複合仕訳にすることで、1度の取引で複数の勘定科目がある場合でもなるべくスッキリ記帳することができます。
手数料が発生する場合や家事按分をする場合などは複合仕訳をするケースも出てくると思いますので、頭に入れておいていただければと思います。
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