小規模企業共済は、会社員と比べるとなにかと補償が少ない個人事業主などの方の退職金代わりになったり、年金を強化したり、さらには節税効果もあったりとメリットの多い制度ですが、誰でも加入できるというわけではなく加入資格があります。
今回は、小規模企業共済の加入資格をお伝えしていきますので、該当する方はメリットが多い小規模企業共済への加入を前向きに検討していただければと思います。
この記事で分かること |
❶ 小規模企業共済の加入資格 ❷ 小規模企業共済の加入資格が無い人 ❸ 配偶者に小規模企業共済の加入資格を持たせる方法 |
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小規模企業共済の加入資格
では、さっそく小規模企業共済の加入資格についてまとめてみました。こちらの項目でどのような方が加入できるかをキッチリ理解しておきましょう。
まず、小規模企業共済の加入資格をまとめると以下のようになります。
業種 | 企業規模 | 該当者 |
建設業 製造業 運輸業 宿泊業 娯楽業 不動産業 農業 など |
常時使用する従業員20人以下 | 個人事業主 役員 共同経営者 |
卸売業 小売業 サービス業 |
常時使用する従業員5人以下 | 個人事業主 役員 共同経営者 |
企業組合 協業組合 |
常時使用する従業員・組合員20人以下 | 役員 |
農業組合法人 | 常時使用する従業員20人以下 | 役員 |
弁護士法人 税理士法人 |
常時使用する従業員5人以下 | 社員 |
具体的に解説していくと以下の通りです。
加入資格に該当する企業規模
まず、“小規模”企業共済というくらいですから、企業の規模が小規模でなければなりません。
ここでの事業規模は、従業員の数によって判断します。下で詳しく説明しますが、原則的に常時使用する従業員が20人以下でなければ加入できません。
業種によって資格を満たす従業員数が違う
上の表にあるように、小規模企業と判断する従業員数は業種によって違います。
▼常時使用する従業員(組合員)20名以下加入可
- 建設業
- 製造業
- 運輸業
- 宿泊業
- 娯楽業
- 不動産業
- 農業
- 企業組合
- 協業組合
- 農業組合法人 など
▼常時使用する従業員5名以下で加入可
- 卸売業
- 小売業
- サービス業(宿泊・娯楽業以外)
- 弁護士法人
- 税理士法人
「常時使用する従業員」に該当しない人
ここでいう「常時使用する従業員」には、家族の従業員と共同経営者(2名まで)は該当しませんので、数にカウントしなくて問題ありません。
加入資格に該当する人物
上の小規模企業に該当する企業の方であれば誰でも加入できるかというと、そうではありません。
小規模企業の中でも以下に該当する方のみ小規模企業共済への加入ができます。逆を言えば、経営者や個人事業主の方以外でも加入資格がある場合もありますのでご確認ください。
- 個人事業主
- 役員
- 共同経営者
ここでの「役員」とは?
ここで言う「役員」とは、株式会社や有限会社の取締役と監査役の方を指します。また、合名会社・合資会社・合同会社の業務執行社員の方にも加入資格があります。
一部社員も加入できる
ごく一部に限られてきますが、常時使用する従業員数5名以下の弁護士法人・税理士法人の社員の方も小規模企業共済への加入資格があります。
複数の事業を行っている方は主となる事業で加入する
複数の事業を行っている方も少なからずいらっしゃると思いますが、その場合、メインの事業の業種で加入することになります。
例えば、小売業と宿泊業を営んでいてどちらも従業員数が10名だったとします。
しかし、小売業での従業員数が10名であれば、小規模企業共済の加入資格に該当しません。もしもこの場合に小売業がメインの事業であれば、そこでの事業主の方も加入できない可能性が高いです。
どうしても加入したいという方は、稀なケースなので中小機構のお問い合わせフォームで問い合わせてみてください。
小規模企業共済の加入資格がない人
それでは、反対にどのような方は加入できないかをこちらで挙げていきます。
まず、上でご説明した加入資格に該当しない方は基本的に加入できません。それ以外にも具体的に以下のような方も加入できませんのでお気を付けください。
事業専従者の配偶者等
メリットが多い小規模企業共済を配偶者も共同経営者にして一緒に加入すればお得じゃない!と思う方もいるでしょうが、共同経営者の要件を満たしていなければ事業専従者と判断され、加入も難しくなると思います。
共同経営者の要件については以下の項目でご説明します。
会社員との兼業で事業を行っている方
例えば、会社勤めをしながらアパート経営の事業を行っている方など、給与所得者として常時雇用関係にある方も加入資格がありません。
生命保険外務員等
保険外務員の方は、保険会社との委託により報酬(事業所得)を得るいわば個人事業主の形になっている場合も多いのですが、このような保険外務員の方には小規模企業共済の加入資格がありません。
直接営利目的がない法人の役員等
直接営利目的がない法人の場合も従業員数が少なくても小規模企業共済には加入できません。
直接営利目的がない法人とは、
- 協同組合
- 医療法人
- 学校法人
- 宗教法人
- 社会福祉法人
- 社団法人
- 財団法人
- NPO法人
などです。
独立行政法人勤労者退職金共済機構の制度を利用している方
独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する共済制度にすでに加入している方も加入資格がありません。
該当する制度は、
- 中小企業退職金共済制度
- 建設業退職金共済制度
- 清酒製造業退職金共済制度
- 林業退職金共済制度
です。
商業登記簿謄本に役員登記されていないみなし役員
実質的な経営者や顧問となっている方でも、商業登記簿謄本に役員登記されていない方は役員とは判断されずに加入資格がありません。
全日制高校生等
本業が学業になる全日制の高校生等には加入資格がありません。大学生の方で事業を行っている場合は、上の加入資格に該当すれば加入できるようです。
配偶者などが小規模企業共済の加入資格を得る方法
上記で少し触れましたが、事業の手伝いなどをしてもらっている配偶者の方がいたとしても「事業専従者」であれば、配偶者の方に加入資格はありません。
しかし、「共同経営者」としての地位を得ることができれば、小規模企業共済の加入資格も得ることができる可能性があります。
共同経営者に該当するための内容としては、
- 業務執行の決定権がある
- 資金面での負担をしている
- 業務執行に対する報酬を受けている
などです。
少し特殊な例でケースバイケースになるところもありますので、一度税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門的知識がある人物に直接相談してみることもおすすめします。
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個人事業主の方は、事業の売上以外にもご自身資産運用もしっかり取り組んでいくべきだと考えます。会社員よりも社会制度が手薄ですし、確定申告を自分でするからこそ工夫次第で上手く税金を抑えることもできます。保険や共済を含めた上手な資産運用の方法をFPにしてみましょう。
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小規模企業共済への加入方法
小規模企業共済の加入資格を満たしいていた方は、加入も前向きにしていきたいですね。
こちらでは、小規模企業共済の加入方法についてお伝えしていきたいと思います。
加入資格は満たしているけど、加入しようかどうか悩んでいる状態の方は、後で小規模企業共済のメリット・デメリットもお伝えしますので、参考にしてもらえればと思います。
加入に必要な書類
まず、小規模企業共済に加入するにあたって必要な書類があります。
加入資格が小規模企業の社長・役員や個人事業主と限られているように、そのことを証明するための書類が必要です。
個人で事業をされている方は、確定申告書や開業届などの事業を行っているということが証明できる書類。
法人の代表取締役・役員などは法人登記などが必要です。
参考:「加入手続き|書類について」
加入方法は窓口でのみ
小規模企業共済の加入方法は、インターネットや郵送での加入ができずに、窓口での手続きの身です。
小規模企業共済の窓口には、委託団体や代理店となっている金融機関の本支店で行うことが可能です。
お近くの窓口に問い合わせてみましょう。
委託団体
- 商工会
- 商工会議所
- 中小企業団体中央会
- 事業協同組合
- 青色申告会
- 損保ジャパン日本興亜株式会社
- アクサ生命保険株式会社
代理店
- 都市銀行
- 信託銀行
- 地方銀行
- 第二地方銀行
- 信用金庫
- 信用組合
- 商工組合中央金庫
- 農業協同組合
参考:「加入窓口」
気になる方は資料請求も可能
下でもメリット・デメリットについてはお伝えしますが、中小機構のサイトから資料請求を郵送・PDFファイルの形で受け取ることができます。
もちろん無料。加入を検討されている方の情報を入力すれば受け取ることができますので、気になる方は以下のリンク先をご覧ください。
参考:「資料請求」
小規模企業共済のメリット・デメリット
最後に、すでにご存知の方も多いでしょうが、小規模企業共済に加入するメリットとデメリットについて簡単にまとめました。
詳しくは「小規模企業共済のメリットとデメリット」で解説していますので、気になる方はご覧ください。
小規模企業共済に加入するメリット
小規模企業共済の大きなメリットは2つあり、1つは長期的に掛金を払い続けることでそれまでに払ってきた掛金よりも多い金額の共済金を受け取れることです。
加入期間などにもよりますが、支払った掛金の20~50%ほど増えて戻ってくることもあります。こちらを退職金や年金の代わりに受け取る個人事業主の方も多いです。
また、月々支払っている掛金は全額控除にすることができ、結果的に納める税金を減額できるところも大きなメリットですね。
掛金の額にもよりますが、年間で20万円以上の節税だってできる場合があります。
掛金の金額を設定する目安や、控除について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】
「小規模企業共済の掛金について|金額設定のポイントや増額・減額方法」
「小規模企業共済等掛金控除の受け方と小規模企業共済と確定拠出年金の違い」
小規模企業共済のデメリットや注意点
大きなデメリットとして、途中で解約してしまうことで、反対にこれまで支払った掛金から大幅に減った金額しか戻ってこないケースもあります。
基本的には20年以上掛金を払い続けなければ、それまでの掛金を上回ることはありませんので、計画的に無理のない範囲での加入を考えていかなければなりません。
まとめ
今回は小規模企業共済の加入資格について解説していきました。
メリットも大きい制度ですので、加入資格がある方は前向きに加入を検討して、計画的に掛金や加入期間を考えてみましょう。
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個人事業主の方は、事業の売上以外にもご自身資産運用もしっかり取り組んでいくべきだと考えます。会社員よりも社会制度が手薄ですし、確定申告を自分でするからこそ工夫次第で上手く税金を抑えることもできます。保険や共済を含めた上手な資産運用の方法をFPにしてみましょう。
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