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個人事業主が知っておくべき社会保険の仕組みと保険料

個人事業主として独立した方は、社会保険について気になることも多いでしょう。さらに具体的に言うと、

  • 自分の社会保険はどうなるのか?どのような種類があるのか?
  • 保険料っていくらくらいになるのか?
  • 従業員を雇った場合の社会保険はどうなるのか?

といった疑問があるかと思います。今回は、個人事業主の方が知っておきたい社会保険制度の知識について上の疑問に対してそれぞれお伝えしていきたいと思います。

個人事業主になったら保険を見直そう

個人事業主になったら、会社員時代よりも社会保険の保障が手薄になってしまいます。今まで民間保険に加入されていた方もそうでない方も、一度保険の見直しをしてみましょう。保険の相談といえばFP(ファイナンシャルプランナー)です。保険以外にも将来の資産運用などの相談にも乗ってくれますので、気軽に相談してみてください。

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個人事業主が知っておくべき社会保険の知識

個人事業主になりたての方は「そもそも社会保険ってなに?」と、具体的に社会保険について分かっていない人も少なくないのではないでしょうか。会社員時代はほとんど会社にお任せでしたからね。

まずは、社会保険についてキチンと理解しておきましょう。

社会保険とは?個人事業主の社会保険制度の種類

社会保険とひとえに言っても、具体的には5つの種類があります。

  • 健康保険(国民健康保険)
  • 年金保険(基礎年金)
  • 介護保険(対象:40~65歳)
  • 労災保険(基本的に加入できない)
  • 雇用保険(加入できない)

会社員時代にほとんどの方が加入していたものになりますので一度は聞いたことがあるでしょうが、それぞれ具体的な役割や実際に支払っている保険料の計算方法まで知っている方も少ないでしょう。それぞれ説明していきたいと思います。

特に、健康保険年金保険は保険料も大きく保障内容も今後安心して生活していくために大事になってきますので、重点的に説明させていただきます。

健康保険(国民健康保険)

ご存知、保険証によって医療費の自己負担が3割になる保険ですが、会社員時代は会社が保険料を折半してくれたのに対し、個人事業主になれば全額自己負担となります。

健康保険の切り替えと種類

まず、少し紛らわしいので先に整理しておくと、今回の記事で言っている『社会保険』とは、他の年金保険なども含めた正確には『社会保険制度』のことを指しています。

そして、健康保険に関しては、個人事業主は一般的に『国民健康保険』に加入することになり、会社員の方は『健康保険』に加入しています。そして、この会社員の健康保険を指して『社会保険』と呼んだりもするのですが、今回は上の社会保険=社会保険制度のことを言っているという認識でお願いします。

基本的に『国民健康保険』に切り替わる

お伝えのように、会社員を辞めて個人事業主となった方は、今まで会社で加入していた健康保険から国民健康保険へと切り替わることが一般です。

自動で切り替わるわけではなく、退職後個人事業主になったら速やかに市区町村の役所で手続きをしましょう。

職業によっては『健康保険組合』もアリ

個人事業主は基本的には上の国民健康保険に変更になるのですが、職業によっては『健康保険組合』に加入できる場合があります。

国民健康保険は所得から保険料が割り出されるので、所得が上がると保険料も上がります。それに対して、健康保険組合は保険料が固定に設定されていることが多いので、所得が多い方は保険料で得をするケースも多いです。

ただ、職業の制限がありますし加入への審査もありますので、誰でも加入できるわけではありません。

『(ご自身の職業) 健康保険組合』などでネット検索すると情報も出てくるかと思いますので、気になる方は調べてみましょう。

会社の退職から2年間は『社会保険の任意継続』も可能

会社員を辞めて個人事業主になりたての方は、会社員時代の健康保険を最大2年間任意継続することもできます。

任意継続をするには、資格喪失日から20日以内に申し出る必要がありますのでご注意ください。

会社員時代に比べると、会社が支払ってくれていた保険料も自分で払うことになりますので保険料自体は上がりますが、国民健康保険に加入するよりもお得になる場合もあります。

具体的にどちらが良いかは、扶養家族などの関係から一概に言えませんので、こちらも速やかに市区町村の役所に行って相談してみることをおすすめします。

保障の範囲

個人事業主の健康保険の保障範囲ですが、健康保険の主な保障である医療費が3割の自己負担になることは会社員の健康保険と同じです。

しかし、「傷病手当金」や「出産給付金」は個人事業主が加入する『国民健康保険』では給付することができませんので、保障の範囲が狭まってきます。

保険料の計算方法

国民健康保険の保険料の計算ですが、金額は前年の世帯所得によって変わります。つまり、所得が上がれば保険料も上がるということです(上限はあります。総所得が650万円前後を超えたあたりで上限)。

世帯数や管轄の市区町村によって金額も変わってくるので一概に言えませんが、おおよそ総所得の10%前後は年間保険料になると思っておいた方が良いです。

こちらも、市区町村役所に行って所得を伝えれば具体的な金額を計算してくれます。参考「平成30年度 国民健康保険料 目安表

国民健康保険の申告・納付

国民健康保険の申告は、確定申告の所得額から割り出され、7月ごろに納付書が届きます。

支払方法は、口座引き落とし・納付書払い・クレジットカード・電子マネーがあり、毎月or一括払いが選択できます。

一括払いは若干保険料が安くなったり、クレジット・電子マネーで払うことでポイントが貯まったりと少しお得になる場合もあるので、無理なく最適な支払方法を検討しましょう。

保険料は控除対象

また、支払った健康保険料は控除の対象となります。つまり、所得を下げることができ、結果的に他の税金や次の保険料などが安くなりますので、納付書などは保管して納付金額が分かるようにしておきましょう(だいたいは年末前に納付証明書が送られてきます)。

年金保険(基礎年金)

老後の生活を保障する年金制度では、個人事業主の方は『国民年金(基礎年金)』に加入します。

結論を言うと、会社員時代の『厚生年金』を外れることにより将来の年金受給額も下がることになります。

個人事業主の年金切り替え

会社員時代は『基礎年金+厚生年金』の年金に加入していたことになりますが、個人事業主になると厚生年金が無くなり基礎年金のみになります。

保険料については、会社員は会社と折半でしたが、こちらも全額自己負担となります。厚生年金がなくなった分、払っている保険料は下がるかと思いますが、その分将来貰える年金も減ります。

会社員を辞めて個人事業主になったのであれば、こちらも市区町村役所に申し出をします。健康保険の申し出と一緒に申し出てしまいましょう。

基礎年金の保険料

基礎年金の保険料は年々変わりますが、月額は固定で1万5千円前後です。個人事業主の場合、こちらが全額負担となります。

ちなみに会社員の場合、会社と折半になります。

会社員の年金保険料は折半の負担で済みますが、そこからさらに厚生年金の保険料も払っているので、実際年金の保険料は会社員が多く払っていることになります(会社員の厚生年金の自己負担額は給与の9~10%ほど)。

貰える年金の違い

深刻な少子化で将来の年金破綻などが危ぶまれていますが、そのことはいったん置いといて、ここ最近の年金受給額の平均(月額)は、

  • 国民年金:5万5千円
  • 厚生年金:14万8千円

という実績があります。

途中まで会社員で厚生年金にも加入しておいて、後に独立して基礎年金(国民年金)だけになったという個人事業主の方が多いでしょうが、単純に40年間会社員で働いた方と、個人事業主で働いた方とでは、個人事業主が年金受給額が1/4になってしまうということになります。

納める保険料は確かに会社員の方が高いですが、将来受け取る年金に大きな差が生まれます。また、会社が半分負担してくれているということを考えれば、お得という観点で言っても会社員の方が圧倒的に得にはなるのです。

付加年金で蓄えることも可能

現時点の基礎年金受給額でも月々5万円程度。貯蓄などない限りとてもではないですが老後の生活は厳しいですね…。

貯蓄や投資などで将来に備えるという手もありますが、個人事業主は基礎年金以外で年金を強化して将来に備えるということもできます。

さらに、後述しますが年金として支払った保険料はこちらも控除の対象にもなりますので、毎年の税金を抑えることもできるのです。

付加年金

基礎年金の上乗せのような制度です。月額400円を上乗せするだけなので、負担は少なく、それまでに支払った付加年金分の半分の金額を毎年の年金に上乗せで貰える効果も大きな制度です。

かけた金額に対しての利率は大きいのですが、そもそもの金額自体が大きくないので、他の収入もないと厳しいことには変わりませんね…。

将来の年金受取額を多くしたいのであれば以下の方法もあります。ただ、付加年金との併用はできないので、どちらにするかをじっくり検討して決めましょう。

国民年金基金

こちらも国が運営している年金の1つです。月額保険料は5,000~20,000円で、民間の生命保険のように被保険者の年齢やプランによって変わります。

基礎年金だけの場合と国民年金基金も併せて加入した場合とでは、受け取れる年金額も倍以上になるであろうと考えられます。

厚生年金ほどの受給額には至りませんが、ある程度のカバーをすることはできますね。

また、国民年金基金での保険料も控除対象なので、所得が多い方などの節税対策にもなります。

確定拠出年金

さらにしっかり将来に蓄えておきたいという方におすすめなのが、個人型確定拠出年金です。

運用は国ではなく、銀行や保険会社などが行っています。国の年金とは別の運営なので、破綻や受給額減の心配は多少軽減されるかもしれません。また、元本保証などもあったりします。

保険料は、月額5,000~68,000円から自由に設定することが可能で、保険料は年ごとに変更も可能。上の国民年金基金との併用も可能ですが、2つ合わせての保険料は月68,000円が最大です。

こちらも保険料は控除にすることができ、節税効果があります。

デメリットとしては、1度加入すれば基本的には60歳まで途中解約はできず、途中で資産を引き出すということも出来ません。

基礎年金の申告や納付

個人事業主の場合、基礎年金の納付書は4月ごろに送られてきます。

支払い方法は、納付書払い・口座引き落とし・クレジット払いがあり、毎月・前納(1年分)・2年前納と納付期間も選べます。一括納付がやはり少し保険料もお得になります(2年前納は事前の手続きが必要)。

保険料は控除対象

お伝えの通り、年金に対する保険料も控除の対象となり節税効果があります。

さらに追加で払った、付加年金・国民年金基金・確定拠出年金も対象ですので、さらに控除額を増やすことも可能ですね。

個人事業主の年金はかなり手薄

繰り返しますが、個人事業主の年金に関しては、通常の基礎年金だけではかなり手薄となりますので早い段階で真剣に考えておく必要があります。

他にも年金を中心とした内容も書いていますので、気になる方は参考にしてみてください。

参考:「個人事業主が入れる年金の種類と保険料

介護保険

介護保険は40歳以上の方の加入が義務付けられる保険で、介護が必要になった場合に訪問介護や老人ホームなどを無料で利用することができます。

保険料については、65歳までは健康保険の中に含まれ(上乗せされる)、65歳以上は年金から天引きされる形になります。また、65歳までの保険料についても会社員は会社と折半なのに対して、個人事業主は全額自己負担となっています。

介護保険の保険料

介護保険の保険料も所得に応じて保険料が変わってきますので、一概に言えませんが、平均的な300~600万円の所得に対しての保険料は、月8,000~11,000円ほどです。

労災保険

労災保険は仕事中や通勤途中での怪我や病気などに対する保険ですが、個人事業主は労働者ではなく経営者という立場になりますので基本的に個人事業主の方が加入することはできません。原則的には自己責任ということになってしまいます。

個人事業主でも一部加入可能な労災保険の特別加入者

ただ、『一人親方』とも呼ばれる一部の個人事業主の方は労災保険に加入できる場合があります。

対象となる方は、もしもの時の安心感も増しますので加入を検討しましょう。

特別加入者の範囲
  1. 自動車を使用して行う旅客または貨物の運送の事業(個人タクシー業者や個人 貨物運送業者など)
  2. 土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復、修理、変更、 破壊もしくは、解体またはその準備の事業(大工、左官、とび職人など)
  3. 医薬品の配置販売(医薬品医療機器等法第30条の許可を受けて行う医薬品の配置販売業)の事業
  4. 林業(立木の伐採、造林、木炭又は薪を生産、その他林業を行うもの)
  5. 医薬品の配置販売を行う者(薬事法第30条の認可を受けて行う医薬品配置販売を行うものに限られる)
  6. 再生利用の目的となる廃棄物などの収集、運搬、選別、解体などの事業
  7. 船員法第一条に規定する船員が行う事業

雇用保険

退職時の失業保険が代表的な雇用保険ですが、その名の通り雇用されている人のための保険なので個人事業主の方が加入することはできません。

個人事業主と会社員の社会保険の保障と保険料の違い

上記で簡単にご説明しましたが、会社員と個人事業主では社会保険の扱いも違ってきます。結論を言うと、個人事業主のほうが保障範囲が狭なりますが、その割には支払う保険料の負担はそこまで変わらないものとなっています。

重複する部分もありますが、違いを表にまとめましたので参考にしてください。

個人事業主 会社員
保障の違い 保険料の違い 保障の違い 保険料の違い
健康保険 傷病手当金、出産給付金× 全額自己負担 傷病手当金、出産給付金〇 会社と折半
年金保険 基礎年金のみ 全額自己負担 基礎年金+厚生年金 会社と折半
介護保険 同じ 全額自己負担 同じ 会社と折半
労災保険 基本的になし 就労、通勤中の疾病に対する保障 会社が全額自己負担
雇用保険 なし 失業給付金、職業訓練給付金など 会社と折半

月々の保険料シミュレーション

上でそれぞれの保険料の大まかな求め方をお伝えしましたが、こちらでもう少し具体的に実際に支払う保険料をシミュレーションしてみたいと思います。

個人事業主と会社員の違いだけで、あとの条件は以下のもので統一して算出してみます。

  • 前年度所得:400万円(夫のみ)
  • 世帯人数:2名(夫・妻)
  • 年齢:お互いに30歳

※30歳なので介護保険は無し

個人事業主の場合

社会保険の種類 月額保険料(自己負担額)
健康保険(国民健康保険) 約40,000円
年金保険(基礎年金) 約15,000円
労災保険 なし
雇用保険 なし
合計 約55,000円

※市区町村によって違いますので金額は大まかなものです

最低限の年金である、基礎年金だけでの保険料でも月々55,000円。年間66万円程度が社会保険料となります。

ここからさらに年金保険料を追加で支払えばさらに上がりますね。

会社員の場合

社会保険の種類 月額保険料(自己負担額)
健康保険(健康保険) 約20,000円(会社と折半)
年金保険(厚生年金) 約36,000円(会社と折半)
労災保険 なし(会社負担)
雇用保険 約1,000円
合計 約57,000円

※市区町村や職種によって違いますので金額は大まかなものです

基礎年金よりもはるかに受給額が大きい厚生年金に加入していても支払う保険料はほとんど同じです。さらには労災保険と雇用保険も加入していますね。

繰り返しますが、このように個人事業主と会社員とでは支払う社会保険の保険料の違いはそこまで大きくないものの、保障の大きさにかなりの違いがあります。

社会保険の優遇の違いだけで会社員が良いとは言い切れませんが、個人事業主として生活をされるのであれば、このような違いはきちんと理解しておかないと後々困ったことにもなりかねません。

個人事業主が社会保険を賢く利用する2つの知識

上の会社員との比較で、個人事業主は社会保険において狭い保障で同等の保険料を払っているということが分かったと思います。

ですので、個人事業主の方は会社員時代よりもより真剣に社会保険の利用方法を考えて、万が一の時にキチンと備えておかなくてはなりません。

不足箇所は民間保険でカバーする

まず、個人事業主の方は保障範囲が狭く、あなたにもしものことがあってしまえば、収入は止ってしまうし保障も最低限しかされません。

特にご家族がおられる方は、このような事態になってしまうとご家族にも大きな負担がかかってしまうかもしれません。

少しでもそのような心配事を軽減するためにも、民間保険と上手く組み合わせて働き盛りのもしもの時に備えておくことを検討しましょう。

【関連記事】
自営業者におすすめの民間保険

個人事業主になったら保険を見直そう

個人事業主になったら、会社員時代よりも社会保険の保障が手薄になってしまいます。今まで民間保険に加入されていた方もそうでない方も、一度保険の見直しをしてみましょう。保険の相談といえばFP(ファイナンシャルプランナー)です。保険以外にも将来の資産運用などの相談にも乗ってくれますので、気軽に相談してみてください。

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保険相談サービスの利用に関する調査|3部門No.1

課税所得を下げて社会保険料を抑える

反対に、無駄に発生している社会保険料は賢く抑えていきましょう。基本的に社会保険料は前年の所得を基に算出されるので、個人事業主の方は経費を増やすことで所得を抑えるなどの方法を取ることで社会保険料を抑えることもできます。

これは当然のことながら、節税にも繋がります。すでにご存知の方もおられるでしょうが、個人事業主の税金や節税に関しては以下の記事も参考にしてみてください。

【関連記事】
個人事業主の税金まとめ
個人事業主の節税方法4つ

経費を多く計上する

社会保険料は前年度の所得によって決まります。つまり、所得を下げれば支払う保険料も下がってくることになりますし節税にも繋がりますよね。

当然やっている方が多いとは思いますが、経費として計上できるものは余さず経費精算するようにしましょう。どこまで経費にできるかなどの不明点もあるかと思いますので、具体的には税理士などに聞いてみるのもいいですね。

国保組合に加入する

個人事業主であれば、国保組合(国民健康保険組合)に加入することで国民健康保険料を抑えることができるかもしれません。国保組合とは、同業の個人事業主同士で作られた国保組合ということになります。

保険料は所得に関係なく一定額に決められていますし、家族がいる場合も家族の保険料も一律で決められています。全国に様々な国保組合がありますので、ご自身と同じ業界で国保組合に入れないか探してみましょう。

参考:「改革案|厚生労働省

法人を設立する

社会保険料を抑える最終手段として、事業を法人化する方法もあります。法人化することによって、個人事業主の方も給与所得者となり、上記でお伝えしたような会社員と同じ社会保険の保障を受けることができますし、半分を会社から支払うことが可能になります。

もちろん、法人税などのその他に検討すべき項目が増えますので、法人化の場合は税理士などの専門家に一度は相談してみることをおすすめします。

個人事業主が従業員を雇った場合の社会保険

ここまではご自身の社会保険についてでしたが、こちらからは少し話が変わって、従業員を雇った場合の社会保険についてお伝えしていきたいと思います。お伝えのように会社員(給与所得者)は会社から保険料を折半してもらっていますから事業の売上の中から従業員の保険料を支払うことになります。

従業員の労災保険加入は義務

個人事業主の方でも従業員を1名でも雇った場合は、労災保険に加入しなくてはなりません。この義務は労働環境や業界問わず、また従業員の雇用形態も、フルタイム以外のアルバイトや日雇いであっても給与所得者であれば対象となります。

保険料は事業主が全額負担することになりますが、給与の0.3%、つまり月給30万円の人に対して900円とそこまで大きな金額にはなりません。具体的な加入方法については労働基準監督署に問い合わせましょう。

参考:「労働保険制度(制度紹介・手続き案内)|厚生労働省

1ヶ月以上週20時間以上働く人がいる場合雇用保険も加入

従業員に週20時間以上で31日以上働いてもらう場合は雇用保険に加入すること必要があります。保険料は、従業員と事業主の折半になり、約0.85%を事業主が負担します。

加入についてはハローワークに問い合わせてください。

参考:「雇用保険・助成金のご案内|ハローワークインターネットサービス

5名以上を雇う適用業種の場合は健康保険と厚生年金にも加入

5名以上の従業員を雇って、健康保険法の適用事業所16種に該当する事業主の場合、従業員に健康保険と厚生年金も加入してもらう必要があります。また、適用事業所に該当していなくても従業員が5名以上いて半数以上の同意を得ていれば任意加入が可能です。

保険料は従業員と折半で事業主の負担は、健康保険が給料の約5%、厚生年金が約8%と負担が大きくなります。適用事業所とは以下の通りです(法人化すれば5名以上や適用事業所に該当しなくても対象となります)。

この法律において「適用事業所」とは、次の各号のいずれかに該当する事業所をいう。
一 次に掲げる事業の事業所であって、常時五人以上の従業員を使用するもの

イ 物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業
ロ 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
ハ 鉱物の採掘又は採取の事業
ニ 電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業
ホ 貨物又は旅客の運送の事業
ヘ 貨物積卸しの事業
ト 焼却、清掃又はとさつの事業
チ 物の販売又は配給の事業
リ 金融又は保険の事業
ヌ 物の保管又は賃貸の事業
ル 媒介周旋の事業
ヲ 集金、案内又は広告の事業
ワ 教育、研究又は調査の事業
カ 疾病の治療、助産その他医療の事業
ヨ 通信又は報道の事業
タ 社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める社会福祉事業及び更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)に定める更生保護事業

引用:「健康保険法第3条3項

まとめ

いかがでしょうか。

個人事業主の方にとって、社会保険は真剣に考えるべき内容だということがお分かりいただけたかと思います。

個人事業主になりたての方は、ご自身の社会保険についてしっかり理解しておき、足りない部分を自分でカバーしたり、賢く保険料を抑える方法を考えてみましょう。

従業員を雇う状況にある方は、従業員の社会保険のことも考えなくてはなりません。自分一人だけで対応しようとすると負担が大きくなりますので、税理士や社労士などの専門家に相談してサポートしてもらうことも検討しましょう。

個人事業主になったら保険を見直そう

個人事業主になったら、会社員時代よりも社会保険の保障が手薄になってしまいます。今まで民間保険に加入されていた方もそうでない方も、一度保険の見直しをしてみましょう。保険の相談といえばFP(ファイナンシャルプランナー)です。保険以外にも将来の資産運用などの相談にも乗ってくれますので、気軽に相談してみてください。

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