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個人事業主の引っ越し費用と経費|経費にできる内容と勘定科目

個人事業主の方は、自宅兼事務所として自宅家賃は経費にできるということはご存知の方も多いでしょう。

それでは、その自宅兼事務所を引っ越した場合の引っ越し費用は経費にできるのでしょうか?

答えは『できる』です。

とは言っても、引っ越し費用にはいくつかの費用が組み合わさって一括りで『引っ越し費用』と呼んでいて、経費にできる費用・できない費用に分かれます。

今回は、個人事業主の方が引っ越した場合の経費にできる引っ越し費用と帳簿を付ける時の仕訳方法や勘定科目の種類などをお伝えしていきたいと思います。

この記事で分かること
経費にできる引っ越し費用の種類
引っ越し費用を経費にする時の勘定科目
会社員が引っ越し費用を控除にする方法

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個人事業主の引っ越し費用は一部経費にできる!

冒頭でもお伝えしたように、個人事業主の引っ越し費用は経費にすることができます。

ただ、引っ越し費用と言ってもいくつかの費用が集まって『引っ越し費用』と一括りにしていますので、それぞれ細かく分けると経費にできるもの・できないものに分かれてきます。

経費にできる引っ越し費用

まずは経費にできる費用からご紹介します。

経費にできる費用は事業に関わる部分のみ

大前提として覚えておいていただきたいことが、経費にできる費用はあくまでも事業に関わる部分の費用分だけということです。

ですので、事業のために契約している事務所から事務所へと引っ越す場合は当然全額経費にすることができますし、自宅兼事務所から自宅兼事務所へ引っ越す場合は事業用で使っている部分の割合だけを経費にします。

このことを家事按分と言って、例えば自宅の半分のスペースを事業で使っていれば家賃も一部を半分が経費、以下の引っ越し費用も半分を経費にするという考え方です。

礼金

20万円未満の礼金は経費にすることができます。自宅兼事務所の場合は礼金も家事按分しましょう。

20万円以上の礼金に関しては、いったん資産として処理を行い、賃貸する期間もしくは5年で減価償却をしていきます。

仲介手数料

不動産会社に支払う仲介手数料なども経費にすることができます。こちらも自宅兼事務所の場合は家事按分しましょう。

火災保険料

引っ越し時に賃貸物件に加入する火災保険なども経費にできます。こちらも家事按分です。

鍵交換代

契約時に鍵交換費用が含まれていることが多いのですが、こちらも経費にできます。

引っ越し業者への支払い

引っ越し業者に依頼して引っ越し作業を行った場合、業者に支払った費用も経費となります。自宅兼事務所ならこちらも家事按分をします。

経費にはできない引っ越し費用

一方で、経費にはできない引っ越し費用もありますのでしっかり頭に入れておきましょう。

敷金

敷金は退去時に戻ってくるお金になるため、基本的には経費にすることができません。敷金は資産に分類されます。

ただ、退去時に敷金の一部が原状回復費用として返還されないことがあります。返還されなかった敷金は、退去時に修繕費として経費にします。

事業とは関係ない分の支払い

度々お伝えしていますが、事業とは関係ない支払いを経費にすることはできません。

自宅兼事務所の引っ越しでは、家事按分によって事業で使っている部分の割合を経費にしますし、もし事業とは関係ないことで追加で費用かかれば、その分を経費にすることも家事按分することもできません。

例えば、引っ越し業者に支払う料金には、ペットやピアノの運送は別料金という所も多いです。ペットやピアノが事業と無関係であれば経費にはできません。

他にも、洗濯機の設置費用など別料金になることもありますが、洗濯機が事業に必要でなければ経費になりません。

引っ越し費用を経費にする時の勘定科目

上でもお伝えしたそれぞれの引っ越し費用は、経費にする時にそれぞれ違った勘定科目になってきます。

こちらの項目では、どの費用に対してどの勘定科目を使えば良いのかをご紹介していきます。

【関連記事】
勘定科目とは?勘定科目を選ぶ時の注意点とよく使う勘定科目

礼金|地代家賃

礼金の勘定科目は家賃と同じ地代家賃となります。

【関連記事】
地代家賃とは?知っておきたい家事按分のやり方と確定申告での書き方

不動産への仲介手数料|支払手数料

不動産会社への仲介手数料は基本的に支払手数料として経費にします。

火災保険料|損害保険料

引っ越し時に加入する火災保険は、損害保険料として経費にします。

火災保険は2年間という数年分をまとめて加入することも多いのですが、その場合その年の分だけを経費にして、残りの保険料は『前払費用』として翌年以降に経費にしていきます。

【関連記事】
勘定科目『損害保険料』で経費にできる費用の種類と家事按分のやり方

鍵交換費用|消耗品費など

引っ越し費用に『鍵交換費用』が含まれている場合がありますが、こちらは消耗品費として経費にすることが多いです。

ただ、厳格にこれといった勘定科目はありません。雑費や修繕費などで経費にしていても問題はないでしょう。

【関連記事】
消耗品費の種類と雑費の違い|仕訳の方法や減価償却についても解説!

引っ越し業者への支払い|雑費

引っ越し業者に依頼して費用を支払った場合、支払手数料としても経費にすることもできますが、雑費として処理をすることが多いです。

【関連記事】
雑費で経費にする時に知っておきたいこと|消耗品費との違いや使う時の注意点

返ってこなかった敷金

上記でもお伝えしましたが、返ってこなかった敷金は原状回復費用に充てられるため、勘定科目は修繕費とします。

【関連記事】
修繕費と資本的支出の違い|2つを分ける判断基準と資本的支出の減価償却

個人事業主が引っ越しする時に提出する書類

個人であれば引っ越し時に市区町村役所に転出・転入届を提出しますが、個人事業主の場合、それに併せて税務署に対しても事業者が異動したという届出をする必要があります。

こちらでは、個人事業主が引っ越した時に必要な書類について簡単にご紹介しておきたいと思います。

納税地異動の届出|自宅を引っ越した場合

納税地は原則的に事業主の住所で決まります。その事業主が引っ越したのであれば、納税地が変わるので納税地異動の届出を行いましょう。

届出書の正式名称は「所得税・消費税の納税地の移動に関する届出手続」です。

提出先は基本的に異動後の納税地所轄の税務署へと行います。しっかりした提出期限は設けられていませんが、引っ越し後は速やかに提出しに行きましょう。

事業所移動の届出|事務所を引っ越した場合

自宅は引っ越さずに事務所だけを引っ越した場合、事務所が移動したという旨を税務署に届け出ます。

書類は「個人事業の開業・廃業等届出書」。そうです「開業届」のことです。

こちらに事務所移動について記入する欄がありますので、こちらを埋めて所轄税務署へ提出しましょう(住所が変わっていなければ基本的に納税地も変わりません)。

ちなみに、自宅兼事務所の方が自宅を引っ越した場合は、上記の納税地の移動に関する届出のみを行えば問題ありません。

会社員の引っ越し費用は控除にできる場合も

ここまで主に個人事業主の引っ越しに対する経費についてお伝えしてきました。ただ、会社員にも引っ越し費用を控除できる制度があります。

まず、個人事業主と会社員とでは経費に関する考え方も違いますので、会社員が引っ越し費用を経費(会社負担のこと)にできるかどうかは会社の決まりによって違います。

その上で、会社から転勤などによる引っ越し費用が経費と認められなかった(自腹)場合、『給与所得者の特定支出控除』というものを利用すれば、支払った引っ越し費用を控除にして税金を抑えることができる可能性も出てきます。

参考:「給与所得者の特定支出控除|国税庁

給与所得者の特定支出控除で引っ越し費用が控除にできる条件

会社員の方が仕事のために自分で支出を多くしているのであれば、給与所得者の特定支出控除を受けたいと思うところですが、実際問題控除を受けるための条件が厳しくなっています。

給与所得者の特定支出控除を受けるためには以下の条件を満たさなければなりません。

給与所得者の特定支出控除の対象になる支出

まず、給与所得者の特定支出控除の対象になる支出とは以下のものがあります。

  • 通勤で必要になった支出
  • 転勤によって必要になった支出
  • 技術や知識を身に付けるにあたって必要になった支出
  • 必要資格を取得するために必要になった支出
  • 単身赴任先からの自宅に帰宅するために必要になった支出
  • 書籍や定期刊行物を購入するための支出
  • 制服や作業服などを購入するための支出
  • 交際費などの支出

引っ越し費用を特定支出にするのであれば、『転勤によって必要になった支出』である必要があるので、個人的な理由で引っ越した時の引っ越し費用は対象外となります。

給与所得控除の半分以上の支出

さらに、1年間で上記の支出が給与所得控除の半分以上無くてはなりません。

会社員の方であればすでに以下の金額の控除が引かれていることになります。そしてこの金額の半分以上を仕事のために自腹で使っていないと該当しないということになります。

給与等の収入金額 給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40%(65万円が下限)
180万~360万円 収入金額×30%+18万円
360万~660万円 収入金額×20%+54万円
660万~1,000万円 収入金額×10%+120万円
1,000万円以上 220万円

例えば、年収400万円の方であれば、給与所得控除134万円になります。つまり、年間で67万円が自腹ということになります。

給与所得者の特定支出控除では、引っ越し費用以外も含めることができますが、年間67万円も自腹で仕事のために使うという方も少ないかと思います。

会社からの証明

さらに、給与所得者の特定支出控除を受けるには会社からの証明も必要になります。

多少なりとも手当や領収書による会社払い(経費で落とす)が認められている会社であれば、簡単には証明もしてくれないことでしょう。

ですので、実際に給与所得者の特定支出控除を利用しているという方はかなり少ない状況になっているのです。

あくまでも「こういう控除もあるよ」という説明として受け取っていただければと思います。

参考:「サラリーマンの10万人に3人しか使っていない!?特定支出控除制度が「使えない」理由

まとめ

今回は主に個人事業主の引っ越し費用と経費についてお伝えしてきました。

個人事業主の自宅であっても、家事按分して引っ越し費用の一部を経費にすることができます。ただ、経費にできないものがあったり、費用の内容によって勘定科目が違ってきますので注意しておきましょう。

また、個人事業主の方が引っ越しをするのであれば、税務署に異動(移動)の届出をする必要もありますのでお忘れなく。

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