開業費とは、開業前の準備に必要だった費用のことで、開業後にいったん資産として処理した後に年々経費にしていきます。
開業をするにあたって、備品を購入したり業者にお願いして準備を進めると思いますが、
- どのような費用が開業費にできるのか?
- いつの分までさかのぼって開業費にできるのか?
- いくらまで開業費にできるのか?
ということが気になると思います。また、開業費として後ほど経費にするのであれば、きちんと帳簿の付け方も分かっておきたいですね。
今回は、開業費にする場合に知っておきたい、開業費の決まりや確定申告での扱い、帳簿の付け方などをご説明してきたいと思います。
この記事で分かること |
❶ 開業費にできるもの・できないもの ❷ 開業費を経費にする時の手順 ❸ 開業費の帳簿の付け方 |
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開業費とは?開業費の科目と経費にする流れ
それでは早速、開業費がどのようなものなのかをこちらの項目で詳しくご説明したいと思います。
開業費は繰延資産にする
まず、「開業費=経費」とお考えの方も多いかと思いますが、実は開業費は「繰延資産(くりのべしさん)」という資産になります。
開業後に年々経費にしていく
開業費はいったん繰延資産にして、開業後に年々経費として減却していきます。
なぜこのような処理になるかと言うと、開業費で購入した物・使った費用は、事業を始めた最初の年だけではなく、数年間使っていくので数年間に渡って償却していくのです。
開業費の償却は任意で行うことが多い
では、開業後に何年かけてどれくらいの金額の割合で償却していくかと言うと、任意で事業主の方が決めることが多いです。
例えば、事業開始初年度から好調で多くの利益が出た場合、開業費を全額償却して所得を下げることもできます。
反対に、初年度はいまいち売上が芳しくない時は、初年度の償却はせずに翌年以降に繰り越すことも可能です。
開業費にできるもの・できないもの
それではみなさんが一番気になるであろう、何が開業費になって、何ができないのか?いつの分まで開業費にできるのか?いくらくらいまで開業費になるのか?ということをこちらの項目でお伝えしていきたいと思います。
開業費にできるもの
まずは個人事業主の方が開業費にできるものです。
開業のために使った費用は基本的に開業費にできる
はじめに前提として覚えておいていただきたいことが、開業前に事業開始のために使った費用であれば基本的にはたいていのものが開業費にすることができます。
それでは、以下で細かくどのようなものが開業費になるのか?ならないのか?をご紹介していきます。
1つ10万円未満の備品や機材、消耗品
原則開業費にできるとお伝えしましたが、備品や機材については、1つあたりの価格が10万円未満の費用になります。
これは経費と同じで、1つあたり10万円以上する機材などに関しては固定資産になって、数年間で減価償却する必要があるからです。
電話・インターネットなどの通信費
事業のために固定電話やインターネット回線を契約することもあるでしょうが、こちらも開業費になります。
また、個人事業主の方は個人用携帯を事業の準備で使うこともあるでしょうが、こちらも一部を家事按分して開業費にすることができます。
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家賃・光熱費
通信費と同じく家賃や光熱費も開業費にできます。自宅家賃や光熱費も同じく、自宅で開業準備をしたのであれば一部を開業費にできます。
ここで気を付けて欲しいことは、あくまでも事業に関係しているということです。例えば、電気代は事業関係で使うこともあるでしょうが、水道代やガス代に関しては事業とは全く関係ないということも多いでしょう。
その場合は当然事業と関係ないとして、開業費にすることもできません。
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従業員給与
開業前から準備のために従業員を雇って給与を支払うケースがあるかもしれませんが、その場合も開業費にすることができます。
開業費にはできないもの
一方で、開業費にできないものには以下のものがあります。
1つの価格が10万円以上する固定資産
上でもお伝えしましたが、1つあたり10万円以上の価格がする物に関しては固定資産になりますので開業費にはなりません。
商品の仕入れ
開業前から商品を販売するための仕入れや材料費を用意することも多いでしょうが、仕入れのための費用は開業費にはなりません。
仕入れの場合は、開業前であっても売上原価として経費にすることができます。
敷金
開業前に事務所として物件を借りるケースもありますが、敷金に関しては後で返ってくるお金ですので開業費にはできません(経費にもなりません)。
礼金
礼金に関しては返ってこないお金ですので、開業費と同じ繰延資産という扱いになりますが、開業費とは違った取扱いになっていますので、開業費ではありません。
いつの費用まで開業費にできる?
もう一つ気になることが、「いつまでさかのぼって開業費にできるのか?」ということですね。
実は過去に使った費用に期限はなく何年前の費用でも開業のために使った費用であれば開業費にすることができます。
しかし、あくまでも常識の範囲内であることはお忘れなく。
例えば、数年前に購入したデスクを開業費にしても、それは常識的であるとは言えないですね…。
もしかなり前の費用をさかのぼって開業費にする場合は、どういった理由で購入して、どのように事業に関係しているのかをきちんと説明できるようにしておきましょう。
開業費の上限は?
開業費に上限はありません。こちらは経費と同じですね。ただ、こちらも常識の範囲内であることはお忘れなく。
店舗を契約しての開業などはどうしても開業費も高額になってきますが、そうでないのに100万円を超えるような開業費になる場合もきちんと説明できるようにしておきましょう。
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開業費の帳簿に記録する方法
こちらでは、開業費を記帳する場合、開業費を償却する場合の記帳のやり方について解説したいと思います。
なお、仕訳の仕方や記帳方法の基礎的なことは「仕訳の基礎から仕訳帳の作成方法」を参考にしてみてください。
記帳せずにまとめて詳細を残しておく方法でも可能
まず、開業費に関してですが、こちらは開業後の帳簿作成のように1つ1つの取引内容を帳簿につける必要はありません(1つ1つ記帳していた方が好ましいですが)。
ですので、エクセルなどで開業費の金額や内容、日にちなどが分かるようにまとめておくやり方でも問題ありません。
領収書や明細は必須
ただ、注意すべき点は経費と同じく、開業費として支払ったことを証明する領収書などはきちんと保管しておくようにしておくことです。
また、開業後の領収書ともきちんと分別をしておきましょう。
開業前と開業後の記帳内容の違い
それでは、実際に開業費として帳簿付けする時の書き方例を挙げてみたいと思います。
開業前に事業用の机を1万円で購入したとします。
借方勘定科目 | 借方 | 貸方勘定科目 | 貸方 | 摘要 |
開業費 | 10,000 | 元入金 | 10,000 | 業務用机 |
借方に開業費を記入し、貸方には元入金(もといれきん)を記入します。
元入金とは、個人事業主にとっての資本金のようなもので開業前から事業資金として準備しておくお金です。
開業費の帳簿では、勘定科目も「開業費」で詳細が分からないので、摘要に何に費用を使っているのかを残しておくと良いですね。
開業後の記帳の例
例として上と同じく、開業後に事務用机を購入した場合、経費になり勘定科目も変わります。
借方勘定科目 | 借方 | 貸方勘定科目 | 貸方 | 摘要 |
消耗品費 | 10,000 | 現金 | 10,000 | 業務用机 |
このように、借方勘定科目が消耗品費に変わりますね。貸方勘定科目も元入金ではなく、事業用の財布から支払った「現金」、もしくは口座引き落としの「預金」などに変わります。
開業費を償却した場合の記帳方法
開業前~開業時には書くことはありませんが、後ほど開業費を償却していく時には以下のような帳簿の付け方をします。
先ほどの業務用机の1万円を償却したとします。
借方勘定科目 | 借方 | 貸方勘定科目 | 貸方 | 摘要 |
繰延資産償却 | 10,000 | 開業費 | 10,000 | 償却 |
借方勘定科目を「繰延資産償却」、貸方勘定科目を「開業費」にします。
開業費か経費かが決まる開業日の決め方
上の帳簿の付け方で開業前と開業後とでは、帳簿に書く内容も変わってきましたね。
では、いつを基準に開業前と開業後を分けるかと言いますと、開業届に記入する「開業日」が境目になります。
開業日を決めるルールなどは特になく、事業主が決めてしまって問題ありません。
ただ、店舗経営の場合はお店のオープン日、それ以外の場合は、事業内容が稼働し始めた日にち、もしくはその月の頭などにすることが多いです。
開業届の提出期限は、原則的に開業してから1ヵ月以内となっています。また、節税効果が高い青色申告を行うための申請『青色申告承認申請書』の提出期限は開業から2ヶ月以内です。 それぞれ、手続きが難しい書類でもないので開業した(もうす[…]
まとめ
今回は、開業費にできる内容や記帳方法、償却方法などをお伝えしてきました。
開業後の経費以外でも、事業を始めるにあたって費用を使ったのであれば、きちんと開業費として後ほど経費にすることもできますので、しっかり領収書や明細などは保管しておくようにしておきましょう。
また、開業費の償却は任意で初年度からまとめて償却することもできますし、利益が出てきた年度に償却していくこともできます。ご自身の事業の状況に合わせて賢く償却していきましょう。
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