青色申告に限らず、個人事業主が経費にできるものは事業に関係する支払いであることが前提です。言い換えれば、事業に関わる支払いであれば、特に上限なく経費にすることができるのです。
また、青色申告の場合は、家事按分や専従者給与、30万円未満の備品など、白色申告では経費に出来なかった範囲も経費にできるというメリットがあります。
今回は、節税もできる青色申告の経費になるものやならないもの、白色申告との経費の違い、経費に関わる領収書の重要性まで詳しく説明していきたいと思います。
この記事で分かること |
❶ 青色申告で経費にできるもの・できないもの ❷ 経費にする時の考え方・注意 |
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青色申告における経費の考え方やその必要性
まず初めに、青色申告における経費の考え方やその必要性について説明したいと思います。後で具体的にどのような費用が経費にできるかはお伝えしますが、その前に大前提として経費にするために知っておいてもらいたいことからご説明します。
青色申告で経費にする判断基準やその上限
青色申告をお考えの個人事業主の方であれば、経費に対してとても敏感だと思いますが、その経費の判断基準に悩む方は結構いるのではないでしょうか。
どのような支払いが経費にできて、どのような上限や制限などがあるのかをお伝えします。
経費は事業に関わるものかどうかで判断する
経費は、事業に関わるものかどうかが判断基準となります。
そこが難しいところかとは思うのですが、例えば、取引先との打ち合わせのために出張した場合の交通費や宿泊費は、事業の利益につながる取引先との打ち合わせなので経費にできます。
しかし、これがただの観光の場合は、事業とは何の関係もないので例え同じ交通費でも経費にはできません。
事業の利益につながるかどうかと考えてもらうと、少しは判断しやすいかと思います。
プライベート兼事業用の支払いも一部経費にできる
個人事業主の方であれば、個人的にも事業用にも使っているという費用も多いかと思います。
例えば携帯電話料金。わざわざ事業用を契約せずに、プライベート用を仕事で使っている方も多いでしょう。
また、自宅家賃も忘れてはならないですね。事務所は借りずに自宅で仕事をしている方もいらっしゃるでしょうし、事務所を借りているとはいえども自宅で仕事をすることも少なくないはず…。
このような、プライベート兼事業用の支払いは実際に事業に使った割合を求めて、その割合分だけ経費にすることができます。これを家事按分と言って、漏れなく経費にしてしっかり節税するために必ず知っておきたい内容です。
【関連記事】
「家事按分できるもの・計算方法・記帳方法」
経費に上限はない
事業に関わるものであれば、いくらでも経費になるの?と思う方もいると思いますが、全くその通りです。経費には上限がありません。
青色申告をする方であればお分かりかと思いますが、いくらでも経費にできるということは、その分税金も減るということなので節税にもなります。
ただ、後で詳しくご説明しますが、10万円以上の備品を購入した場合(青色申告の場合は30万円まで上限が増える)、数年に分けて経費にしていく必要があります。
これを減価償却と言います。
【関連記事】
「10万円を超える物を購入すると消耗品費にならない」
青色申告ではたくさん経費にした方がいい?
先ほど経費には上限はないので節税になると説明しましたが、だからと言って、何でもかんでも経費にすればいいというわけではありません。
経費をたくさん使えば使うほど支払い額は増えますから、当然手元の資金も減ってしまいます。
税金は減るかもしれませんが、無駄に経費を使って利益まで減ってしまっては、事業をやっている意味がなんなのか分からなくなってしまいますね。
ですので、経費はただたくさん使えばいいというわけではなく、事業に必要な経費だけにするよう気を付けましょう。
本来経費にできないものを経費として申告した時のリスク
中には、「少しくらいプライベートで使った支払いを経費にしてもバレないだろう…。」そう考えている人がいるかもしれません。
もし、本来経費にできないものを経費にして申告して発覚した場合、税務署がされ、事業と関係ないと判断されたなら追徴課税という余計な税金を納める羽目になってしまいます。
事業に関係ある支払いかどうかは、ご自身が一番分かっていることでしょうから、経費にするならしっかり用途を説明できるようにしておきましょう。
【関連記事】
「追徴課税の種類と税率や計算方法」
青色申告で経費になるもの|必要経費の科目一覧
経費の考え方も分かっていただけたかと思いますので、青色申告でどんなものが経費になるのか、その勘定科目と一緒に説明したいと思います。
経費は勘定科目で管理する
青色申告で経費になるものを説明する前に、「勘定科目」について触れておこうかと思います。
すでにご存じの方も多いと思いますが、経費を帳簿につけるときには「勘定科目」を使います。
なぜかというと、経費の種類はとてもたくさんあるので、「勘定科目」を使って項目分けをすることで管理がしやすくなるからです。
ですので、経費を使うときは、どの勘定科目になるかということも意識してみるといいかと思います。
青色申告の必要経費科目一覧
それでは、青色申告で経費になる代表的な勘定科目を一覧にしましたので見てみましょう。それぞれ気になる詳細はリンクをご覧ください。
勘定科目 | 内容 |
仕入高 | 仕入れた商品や材料などにかかる費用 |
旅費交通費 | 電車、バス、タクシー代や宿泊代など |
接待交際費 | 取引先との飲食代やゴルフ代、贈答品など |
会議費 | 会議用のお茶代や会議室代、打ち合わせ時の飲食代など |
消耗品費 | 文房具などの事務用品や10万円未満の備品 |
広告宣伝費 | 新聞広告、インターネット広告、パンフレットやホームページ作成など |
減価償却費 | 建物や器具備品などの固定資産を決められた年数で計上する費用 |
修繕費 | 建物、器具や備品などの修理代 |
荷造運賃 | 配送料や荷物の梱包材料費など |
支払手数料 | 振込手数料、証明発行手数料など |
通信費 | 電話代、切手やハガキなど郵便代、携帯代、インターネット料金など |
水道光熱費 | 電気、ガス、水道代 |
地代家賃 | 事務所や駐車場等の土地や建物の賃借料 |
租税公課 | 固定資産税や個人事業税、印紙税などの税金 |
損害保険料 | 自動車保険、自賠責保険、火災保険、賠償保険など |
福利厚生費 | 従業員用の社会保険料、健康診断料、制服代、従業員の懇親会費など |
給料賃金 | 従業員の給料 |
専従者給与 | 青色申告者の専従者(親族)の給料 |
利子割引料 | 借入金の利息や手形の割引料など |
雑費 | 他の勘定科目に該当しない少額の費用 |
勘定科目の名前を見ただけで内容が分かるものから、内容を見てもイマイチ分からないものもあるかと思います。
勘定科目に関しては暗記する必要はないですし、例え間違っても後で修正は可能です。
それよりも、経費になるかならないかの判断の方が重要なので、常に事業に関わるものかどうかを意識するようにしましょう。
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青色申告で経費にできないもの
事業に関わるものなら経費にできるというのが基本ですが、事業に関わるのに経費にできないの?といったややこしいものが一部ありますので説明します。
借入金や保証金など
これから事業を始める方は、初期投資のためにお金を借入したり、新しく事務所を構えるために保証金が必要だったりすることもあると思います。
その借入金の返済や保証金は経費にならないのでしょうか?
借入金の元金返済
借入金はいずれ返済するわけですが、その元本の返済は、借りていたお金をただ返済するだけなので経費にはなりません。
ただし、借入金の利息は「利子割引料」として経費計上することができます。
20万円以上の礼金
事務所などを借りる際の礼金は、その金額が20万円以上の場合は経費にはできません。
経費にはせず資産として処理をし、賃貸期間で減価償却します。
ちなみに、礼金が20万円未満の場合は、一括で「地代家賃」として経費計上することができます。
敷金
礼金と同様に、事務所などを借りる際の敷金は、あとで戻ってくるお金と考えるので経費にはできません。
ただし、退去時にその敷金が戻ってこなかった場合には、戻ってこない金額分を「修繕費」として経費計上することができます。
事業主自身のための支払い
これはちょっとややこしいのですが、事業に関係していそうな支払いでも事業主自身のものは経費にできないものがあります。
上の必要経費科目一覧で、「福利厚生費」「給料賃金」がありますが、これらは従業員のための給料や健康診断料などなので経費にすることができます。
ですが、事業主自身の支払いは経費にすることができないわけです。
個人事業主の健康診断費用
従業員の健康診断費用を事業主が負担した場合は、福利厚生費として経費にできますが、個人事業主が自分のために健康診断を受けた場合は、残念ながら経費にすることはできません。
所得税と住民税
国に納める税金には、経費にできるものとできないものが分かれるのですが、経費にできない代表的な税金に所得税と住民税があります。
これら税金が経費にできない理由は、事業に対して課せられるものではなく個人に対して課せられる税金だからです。
その他にも、健康保険料は経費ではなく控除の対象など、少し複雑になるので気になる方は以下の記事も参考にしてみてください。
【関連記事】
「租税公課で経費にできる税金・できない税金」
スーツや靴・カバン代
仕事用のスーツや靴だったら経費にできるのでは?と思う方もいると思いますが、基本的には経費にはできせん(業務でしか着用しない制服は経費にできます)。
なぜかというと、スーツなどはプライベートでも着ようと思えば着られるからです。
絶対にプライベートで着用することはないと言い切れれば、もしかしたら経費にできるかもしれませんが、判断が難しいところです…。
ただ最近では、「給与所得者の特定支出控除」で会社員のスーツ代が控除対象になったり(一部条件を満たした場合のみですが)、仕事に関わる身だしなみの費用が経費とみなされる傾向もあります。
青色申告のメリット!特別に経費にできるもの
青色申告で経費にできるものは事業に関わるものと説明してきましたが、基本的にそれは白色申告も同じです。
それでは青色申告にするメリットは?と思う方もいるかもしれませんが、青色申告だけの特別に経費にできるものもあります。こちらでは、青色申告と白色申告の経費の違いについてご説明したいと思います。
【関連記事】
「白色申告で経費にできるものと経費の範囲」
家事按分で家賃も光熱費も経費になる|家事按分できる範囲の違い
上でプライベート兼事業用の支払いは一部を経費にできるとお伝えしましたが、青色申告の場合、自宅兼事務所などの事業用と個人用が混在しているものは特に制限なく家事按分をして事業で使用している部分のみ経費にすることができます。
青色申告 | 白色申告 |
事業で使用している部分は全て経費にできる | 家事按分の割合が50%を超えないと経費にできない |
白色申告も家事按分できますが、事業で使っている割合が50%を超えないと経費にできないのでちょっときびしいのではないかと思います。
その点、青色申告は家事按分さえすれば、その部分はすべて経費にすることができます。
詳しい家事按分の方法などは、他の記事を参考にしてみて下さい。
【参考記事】
「家賃を経費にするときの家事按分方法」
「電気代を経費計上するときの家事按分のやり方」
「携帯代の家事按分の方法」
30万円未満の備品は一括で経費計上できる|一括経費にできる金額の違い
経費に上限はないとお伝えしましたが、備品に関してだけは別で、通常10万円以上の備品は一括で経費計上できないことになっています。
ですが、青色申告の場合は、「少額減価償却資産の特例」が適用され、10万~30万円未満であれば一括で経費計上することができます。
事業を始めたばかりですと、パソコンなどの高額な備品を購入することもあるでしょうし資金繰りも大変でしょうから、一括経費計上は見逃すことができない節税方法かと思います。
条件クリアで専従者給与も経費になる|専従者給与の違い
事業主の方は親族に事業を手伝ってもらうこともあると思いますが、青色申告の場合のみ、その給与は「専従者給与」として経費にすることができます。
ただし、以下の条件を満たしている場合に限ります。
- 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
- その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
- その年を通じて6月を超える期間、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること
これらの条件をすべて満たしていることと、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出も必要になります。
ちなみに、白色申告では親族の給料は経費にはできませんが、控除を受けることは可能です。
詳しくは他の記事を参考にしてください。
【参考記事】
「青色申告とは条件が違う白色申告の経費」
青色申告で経費にする時の領収書の重要性
青色申告における経費について説明してきましたが、経費に欠かせないものと言えば領収書です。
最後に、領収書がないと経費にはできないのか、青色申告における領収書の保管期間について説明したいと思います。
領収書がないと経費にはできない?|領収書以外の証明方法
領収書は、何にいくら使ったかというその経費の証拠になりますので、基本的には領収書がなくては経費にすることはできません。
ただし、あくまでもきちんとその支払いをしたということを証明できれば良いので、絶対に領収書である必要はありません。
経費を証明するには領収書が一番ですが、万が一領収書がもらえなかった場合の代案をお伝えしたいと思います。
領収書の代わりにレシートでもいい
お店で何かを購入したとき、領収書ではなくてレシートということもあるかと思いますが、レシートでも全く問題ありません。
むしろ、買った内容が記載されているレシートの方が好都合でもあります。
というのは、いつ何にいくら支払ったという根拠がほしいので、内容が分かれば領収書でもレシートでもいいわけです。
交通機関など領収書が出ない場合
電車やバスを利用した際、その領収書は出ないことがほとんどですね。
その場合は、出金伝票に、日付、金額、区間、交通機関名、目的などを記入して取っておけば問題ありません。
領収書がもらえない場合については、他の記事でも詳しく説明していますので、そちらも参考にしてみてください。
【参考記事】
「領収書を貰えなかった交通費の経費計上の方法」
青色申告における領収書の保管期間
青色申告の場合、経費の根拠である領収書は7年間の保管義務があります。
青色申告の帳簿作成にも領収書は必要になりますが、その後7年間も保管しておかなければならないんですね。
そんなにちゃんと保管しておけるか心配という方は、領収証の保管方法を他の記事で説明しているので、そちらも参考にしてみてください。
【参考記事】
「領収書の保管方法」
まとめ
以上、青色申告の経費になるものは?|必要経費科目一覧でした。
簡単にまとめると
- 経費は事業に関わるものかどうかで決まる
- 勘定科目よりも経費になるかならないかの判断の方が重要
- 青色申告は特別に経費にできるものもあってより節税になる
- 青色申告では領収書は7年間の保管義務がある
いかがでしたでしょうか?
青色申告でしっかり経費にすることで大きな節税にもつながりますので、経費になるかどうかの判断はしっかりしましょう。
また、ご存知でしょうが、青色申告には経費以外にも控除や赤字繰り越しなどの節税につながるメリットも多いですね。
→「青色申告にする4つのメリット」
青色申告は帳簿作成が少し難しくなりますが、会計ソフトを使えば簡単に帳簿作成ができますので、勘定科目の選別や帳簿・簿記に自信がない方は、この機会に会計ソフトを試してみてください。
確定申告をラクに終わらせませんか?
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