単式簿記とは、事業における取引を帳簿に記録する際の記帳方法の一つで、一つの勘定科目を使ってその「目的」のみを記録するのが特徴で、簡易簿記とも呼ばれています。

例えば、8月1日に仕入れで1万円を使ったとすれば、

8月1日 仕入高 10,000円

というように、いつ何にいくら使ったのかを書けばいいだけですからシンプルで簡単です。一方で、もう一つの記帳方法である複式簿記の場合、

8月1日 仕入高 10,000円 現金 10,000円

というように、『現金|10,000円』の部分の『どうやって(どこから)』そのお金を使ったのかを記入する必要も出てきますので、単に記入する項目も増えますし、少し複雑になります。

単式簿記は、特に簿記の知識が無い方でも簡単にできる記帳方法になっています。ただ、それでも複式簿記で記帳をする方も多いのには理由があります。

今回は、単式簿記とはどのようなもので、どのように記帳するのか?複式簿記との違いやメリット・デメリットなどを解説していきたいと思います。

始めて帳簿を付けるという方は、確かに単式簿記の簡単で分かりやすいことは大きなメリットでもありますが、反面デメリットもありますので、しっかり理解した上でどのようは方法で帳簿を作っていくのかを決めていきましょう。

面倒な作業はfreeeが解決!

クラウド会計ソフト『freee』は、AIによる自動仕分けの帳簿作成や領収書をスマホで撮影するだけで金額・用途を自動取り込みしてくれるなど、面倒な会計作業を簡略化してくれます。また、申告書も質問に答えるだけで作成してくれるなど、これから開業しようとしている方には大きな力になってくれるサービスです。無料お試し版もありますので、まずは実際に一度触って試してみてください。
無料でfreeeを試してみる
※登録はアドレス入力とパスワード設定だけ

単式簿記の特徴と複式簿記との違い

まず初めに、単式簿記とはどんな特徴や役割があるのか説明したいと思います。

単式簿記とは?

冒頭でもお伝えしましたが、単式簿記とは事業における取引を帳簿に記録する際の記帳方法の一つで、一つの勘定科目を使ってその取引の「目的」を記録するのが特徴です。お小遣い帳のように簡単に記帳することができ、別名「簡易簿記」とも呼ばれています。

単式簿記の書き方はシンプル

書き方については後でもう少し詳しく説明しますが、単式簿記の書き方は至ってシンプルです。

最初に例に出した内容のように、8月1日に仕入れとして10,000円を使ったとすれば、

8月1日 仕入高 10,000円

いつ(日付)、何に(目的)、いくら(金額)を使ったのか?の情報が載っていればひとまず問題ありません。

さらに言えばどこで買ったか?何を買ったか?などの「摘要」があれば良いくらいです。

これくらいでしたら、始めて帳簿を付けるという方でも難なく記帳できそうですね。

単式簿記と複式簿記の違い

単式簿記とは違う記帳方法に、『複式簿記』というものがあります。

単式簿記は、一つの勘定科目を用いて何に使ったかという「目的」のみを記録します。これに対し複式簿記は、二つ以上の勘定科目を用いて「目的」と「手段」を記録します。

8月1日 仕入高 10,000円 現金 10,000円

上でも触れたように、ここでの『現金|10,000円』という項目が「手段」になってきます。

複式簿記で記帳するときは、必ず『仕訳』を行い、その勘定科目を「借方」と「貸方」に分けるのですが、これで「目的」と「手段」という二つの側面を表すことができるのです。

単式簿記は簿記の知識がなくても記帳することができますが、複式簿記は仕訳の基礎が分かっていないと少々難しいでしょう。

複式簿記や仕訳の基礎については他の記事で説明していますので、詳しく知りたい方はそちらを参考にしてみてください。

【参考記事】
複式簿記の重要性とその書き方や帳簿の作り方
仕訳の基礎・ルール

白色申告と青色申告における単式簿記と作成義務がある帳簿

単式簿記のことは、確定申告について調べていて知ったという方も多いのではないでしょうか?

確定申告には白色申告と青色申告があり、それぞれ帳簿作成の義務がありますが、その記帳方法の一つとして単式簿記があります。

白色申告 青色申告
控除額 なし 10万円 65万円
記帳方法 単式簿記 単式簿記 複式簿記
作成義務がある帳簿 ・現金出納帳
・買掛帳
・売掛帳
・経費帳
・固定資産台帳
・現金出納帳
・買掛帳
・売掛帳
・経費帳
・固定資産台帳
・仕訳帳
・総勘定元帳
・現金出納帳
・買掛帳
・売掛帳
・経費帳
・固定資産台帳

白色申告の記帳方法は単式簿記のみで結構ですが、青色申告の場合、単式簿記と複式簿記のそれぞれの記帳方法から選ぶことになります。

「簡単な方の単式簿記が良いに決まっているじゃん!」と思ってしまいますが、上の控除額を見てください。

単式簿記=10万円控除、複式簿記=65万円控除と、控除額が大きく変わります。この控除額の違いだけでも、納める税金が10万円以上変わってきます。

目先の楽さを取るか(単式簿記)、先のお得を取るか(複式簿記)を最終的に決めるのは確定申告をされる方の判断ですが、著者は控除が大きくなる複式簿記をおすすめします。

確かに簿記の知識が無い方がいきなり複式簿記を自力でやろうとすると、かなり手間取ってしまいますが、今は年間1万円程度の会計ソフトを使えば簡単に複式簿記も作れてしまいます。それで税金が10万円以上下がるのであれば、断然そちらがお得です。

また、「どうせ確定申告は税理士にお任せするつもり」という方も、専門家に任せるなら、絶対に控除が大きい複式簿記が良いですね。

単式簿記でも作成義務がある帳簿

上の表にも書いてあるように、単式簿記でも一部の帳簿の作成義務があります。

単式簿記でも作成義務がある帳簿は、

の5つです。どのような場合に作成するのか?どういった書き方をするのか?という詳しい内容は、それぞれのリンク先を参考にしてみてください。

単式簿記のメリット・デメリット

単式簿記は簡単に作れるけど控除が低くなるということはお伝えしましたが、改めて単式簿記のメリットとデメリットについて説明したいと思います。

メリット デメリット
  • 帳簿作成が簡単
  • 控除額が低い(節税効果が低い)
  • 経営状態を把握できない

単式簿記のメリット

やはり単式簿記のメリットは、記帳が簡単なところですね。

特に簿記の知識が無くても、一度慣れてしまえば誰でも作れてしまうでしょうし、貸方・借方などのポジションも覚えなくても良いでしょう。

始めて帳簿を付けるという方は、最初の1年は単式簿記にしてみて、確定申告や帳簿というものに慣れてきたら複式簿記に切り替えてみても良いでしょう。

また、まだ所得が少なかったり、副業などでとりあえず白色申告で確定申告をされる方も単式簿記で十分です(そもそも白色申告は単式簿記だけで問題ありませんが)。

単式簿記のデメリット

上でもお伝えしたように、まず第一の単式簿記のデメリットは控除額が低くなることですね。65万円の控除というのは、やはり結構な差で、度々お伝えしているように10万円程度の税金が違ってきます。

そして、もう一つのデメリットは、経営状態を把握できないことです。

なぜかと言うと、現金の入出金の理由が分からないことや儲けの金額が分からないことなどが理由にあります。

冒頭でもお伝えしましたが、単式簿記はその取引の「目的」は記録できますが、「手段」(理由)は記録できません。現金が増えた理由がわからなければ、この現金が売上かどうかも分らないので儲けの金額かどうかも分からないというわけです。

そもそも帳簿作成というものは、「確定申告で義務付けられているからやる」のではなく、「ご自身の経営状況を把握するためにやる」ものです。

自分でせっせと複式簿記で帳簿を作らないにしても、複式簿記で帳簿を残しておくことで、後から経営分析などもしやすくなるのです。ちなみに、会計ソフトなどの便利なツールを使えば、経営分析もかなりやりやすく分かりやすくなります。

単式簿記の書き方・記入例

では、簡単に単式簿記の書き方を説明したいと思います。

上記でも説明しましたが、単式簿記は何に使ったかという「目的」のみを記録します。

単式簿記の記入例

それでは、例をいくつかあげて説明します。

  1. 8月5日にA商店から商品100,000円を現金で仕入れた
  2. 8月10日に事務用棚30,000円を現金で買った
  3. 8月20日にB株式会社に商品200,000円を現金で販売した
日付 勘定科目 金額 摘要
8月5日 仕入高 100,000 A商店
8月10日 消耗品費 30,000 事務用棚
8月20日 売上高 200,000 B株式会社

この一覧を見てわかる通り、一つの勘定科目を使い、何にいくら使ったのかが分かりますね。

帳簿の種類にもよりますが、基本的には上のように

  • 日付
  • 勘定科目
  • 金額
  • 摘要(あれば)

が書かれていれば良いです。

単式簿記で必要になる勘定科目と不要な勘定科目

単式簿記では、売上や経費などの勘定科目(費用・収益勘定)のみ使い、現金や買掛金などの勘定科目(資産・負債勘定)は使いません。

少し専門的な話になりますが、勘定科目には「資産・負債・純資産・費用・収益」の5つの要素があり、

貸借対照表での3要素 損益計算書での2要素
  • 資産
  • 負債
  • 純資産
  • 費用
  • 収益

に分かれます。

このうち左の3要素は単式簿記では使うことは無く、右側の2要素だけで帳簿を作っていく形になります。

もう少し詳しく言うと、

事業用財布から10,000円を使った(勘定科目:現金(資産))
売上が銀行口座に入金された(勘定科目:預金(資産))

などは記入する必要はなく、

交通費として10,000円を使った(勘定科目:旅費交通費(費用))
売上が100,000円入金された(勘定科目:売上高(収益))

のみを書けばいいと言うことですね。

上でも説明したように、単式簿記には「手段」は書かずに「目的」のみ書くということと繋がります。

【参考記事】
仕訳帳作成のための仕訳の基礎

単式簿記の帳簿作成の方法

単式簿記の書き方はなんとなくイメージ出来たでしょうか?

では、実際に単式簿記で帳簿作成をするとき、主に3種類の作り方があるのでご紹介します。

会計ソフト

一番のおすすめは、会計ソフトです。ノートやエクセルと比べると時間短縮になるのは目に見えていますが、簿記の知識があまりない方でも簡単に帳簿付けできるのが一番のメリットです。

記帳が簡単な単式簿記とは言っても、経費などの勘定科目は必要です。

最近の会計ソフトは、領収書などの明細を取り込むことで自動で勘定科目を提案してくれるので、簿記初心者の方でも簡単に帳簿作成することができます。今なら無料でスタートできる会計ソフトもありますので、是非試してみてください。

おすすめ会計ソフト3つ

公式サイト 解説記事
freee freeeの無料プランでできること
freeeの料金は?
freeeの評判は?
MF
クラウド
MFクラウド無料プランでできること
MFクラウドの料金
MFクラウドの評判は?
やよい
クラウド
やよいオンラインシリーズの無料プランでできること
やよいのクラウド確定申告の評判まとめ

エクセル

エクセルを使って作成する方法です。ノートに手書きするよりは、とてもラクに帳簿付けできますね。

ご自分で作るのもいいですし、最近ではインターネットで検索すると無料エクセルテンプレートもありますので、そちらを使ってみるのもおすすめです。

ノート

店頭やインターネットサイトでも購入ができるノートで作成する方法です。ノートで作成するなんて今時ではないかもしれませんが、書くことで覚えたりもしますので、初心者だからこそノートで帳簿を付けてみるのもいいかもしれませんね。

Amazonで帳簿を探す
楽天で帳簿を探す

まとめ

以上、単式簿記とは?メリット・デメリットやその書き方から作り方でした。

簡単にまとめると

  • 単式簿記は「目的」のみの記録で記帳はとても簡単
  • デメリットもあるが、確定申告初めての方は単式簿記にしてみるのもアリ
  • しっかり節税・経営状況の把握をしたいなら複式簿記がおすすめ
  • 会計ソフトを使えば簿記初心者でも簡単に帳簿作成ができる

単式簿記での記帳は簡単といっても、確定申告が初めての方はまだまだ不安という方もいると思います。そんな方は、是非会計ソフトを使って安心して確定申告に備えてくださいね。

面倒な作業はfreeeが解決!

クラウド会計ソフト『freee』は、AIによる自動仕分けの帳簿作成や領収書をスマホで撮影するだけで金額・用途を自動取り込みしてくれるなど、面倒な会計作業を簡略化してくれます。また、申告書も質問に答えるだけで作成してくれるなど、これから開業しようとしている方には大きな力になってくれるサービスです。無料お試し版もありますので、まずは実際に一度触って試してみてください。
無料でfreeeを試してみる
※登録はアドレス入力とパスワード設定だけ