固定資産台帳とは、事業に関わる建物や10万円以上の備品などの固定資産を購入したときに、購入日・購入金額・名称などの情報を記録する帳簿で、確定申告でも作成義務がある補助簿の一つです。
固定資産台帳の作成には、義務だからという理由だけではなく、正しい会計処理や減価償却費の根拠、節税対策などの目的もあります。
今回は、固定資産台帳の目的や書き方と実際の作り方について詳しく説明していきたいと思います。
この記事で分かること |
❶ 固定資産台帳の役割と必要性 ❷ 実際の固定資産台帳の作り方 |
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固定資産台帳の目的と必要な理由
固定資産台帳という名前は聞いたことはあっても、どういったものなのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
まず初めに、固定資産台帳とはどんなもので、作成する目的や必要性にはどのようなものがあるのかを説明していきます。
固定資産台帳とは?
固定資産台帳とは、事業に関わる建物や車や備品などの固定資産を購入したときに、名称や購入金額、購入日など必要な情報を記録する帳簿です。
言い換えるなら、固定資産を管理するため帳簿のことで、固定資産を入手したのならきちんと固定資産台帳に書いておきましょうということですね。
固定資産とは?
そもそも固定資産とはなんのこと?と思う方も多いでしょう。
固定資産とは、土地や減価償却資産(建物や車など)といった1年以上使って資産価値のある物のことです。
固定資産に該当する備品は一個あたり10万円以上のものが対象になります。10万円未満や複数で10万円のときは固定資産にはならず、基本的には消耗品扱いになります。
つまりまとめると、固定資産には
- 土地
- 建物
- 車両
- 機械
- 高額な工具器具
などが該当すると言えるでしょう。
固定資産台帳を作る3つの目的
固定資産を購入したからと言って、わざわざ固定資産台帳に記入するなんて面倒くさいと思う方もいるのではないでしょうか?
その気持ちも分かりますが、固定資産台帳をつけるのにはちゃんとした目的があるからなのです。
それでは、固定資産台帳を作る主な目的3つを解説します。
減価償却費の根拠となる
固定資産台帳には減価償却費の根拠となる役割があります。減価償却とは、高額で数年間使える物を数年に分けて経費にしていくやり方です。
通常の経費ならば領収書やレシートが根拠になるわけですが、減価償却費の場合は固定資産台帳が根拠になるわけです。
正しい経費計上は節税にはかかすことのできなので、減価償却費もミスのないようしっかり計上しましょう。特に金額も大きいですからね。
正しく処理されているか確認できる
固定資産台帳には、正しく会計処理されているか確認する目的もあります。
確定申告で必要な損益計算書や貸借対照表には資産の総額だけを書くことになり、詳細まで分かりません。
固定資産台帳には詳細まで全て記入されているので、正しく計上されているか確認することができるのです。
資産管理して余計な税金が発生することを防ぐ
固定資産台帳には当然資産管理の目的もあります。
実際はあると思っていた資産が盗まれてなかったとか、壊れてしまって使っていない機械があるという場合もあるかもしれません。
そういった場合、早めに問題の発見ができたり、固定資産台帳から除去することで無駄な税金を払わなくて済むので節税につながる場合があります。
固定資産台帳は確定申告で必要
固定資産台帳を作る目的は十分わかっていただけたのではないでしょうか?
でも個人事業主の方なら、「そこまできちんと作る必要ないのでは」と思う方もいると思います。
結果から申し上げますと、固定資産台帳は作る必要があります。
なぜかと言うと、固定資産台帳は確定申告で作成義務がある補助簿の一つだからです。
確定申告には白色申告と青色申告と2つの申告方法がありますが、いずれの場合も固定資産台帳は必要になります。
スマホの方は横にスライドできます→→
白色申告 | 青色申告 | ||
記帳方法 | 簡易簿記 | 簡易簿記 | 複式簿記 |
控除額 | なし | 10万円 | 65万円 |
作成義務がある帳簿 | 補助簿 | 補助簿 | 主要簿
補助簿 |
事業所得を得ている個人事業主の方などは確定申告をすることになると思いますが、確定申告をする人には帳簿の作成義務もあります。 帳簿と一言で言っても種類は様々ありますし、確定申告のやり方や帳簿の書き方によって必要な帳簿の種類も変わってきま[…]
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固定資産台帳の書き方|記入項目と記入例
固定資産台帳の目的や必要性が分かっていただけたと思いますので、固定資産台帳の書き方を覚えていきましょう。
固定資産台帳の記入項目
書き方に入る前に、固定資産台帳の記入項目から説明します。
固定資産台帳は決まったフォーマットがないので、場合によって記入する内容は多少変わることもあると思います。必要最低限の記入項目の内容を表にまとめてみたのでご覧ください。
資産名称 | 購入したものの名称、管理番号や型番なども記入 |
資産区分 | 建物、車両・運搬具、構築物等 国税庁 耐用年数表を参考に記入 |
取得年月日 | 取得(購入)した年月日を記入 |
取得価格 | 取得(購入)した金額を記入。付随してかかった費用があれば、合計金額を記入 |
耐用年数 | 資産区分やその内容により決められている。 国税庁 耐用年数表を参考に記入。 |
減価償却額 | 定額法の場合は、取得価格に償却率をかけて求める 定率法は前年の未償却残高に償却率をかける |
償却率 | 耐用年数と償却方法により決められている 減価償却資産の償却率表を参考に記入 |
償却方法 | 定額法と定率法のどちらかを記入。資産区分によりどちらかを選びますが、個人の場合は原則として定額法になります。 |
帳簿価格 | 前年の未償却残高から減価償却額を引いた金額を記入 購入した年の場合は、取得価格から減価償却額を引く |
書く内容は表で説明した通りですが、資産区分、耐用年数、償却率は税法で定められているものになりますので、その内容が改訂されることもあります。固定資産がある場合は、耐用年数や償却率などに変更がないか、国税庁のホームページを見るなどして注意しておく必要がありますね。
固定資産を購入したときの記入例
では、実際に固定資産を取得した時の固定資産台帳の記入例を見ていきましょう。
個人事業主の方だと、土地や建物を取得するということはあまりないかと思いますので、身近なパソコンを例にしたいと思います。
資産名称 | ノートパソコン 〇〇製 管理番号〇〇〇 シルバー |
資産区分 | 器具・備品 |
取得年月日 | 2018.7.1 |
取得価格 | 150,000 |
耐用年数 | 4年 |
減価償却額 | 37,500 |
償却率 | 0.25 |
償却方法 | 定額法 |
帳簿価格 | 112,500 |
資産名称
ノートパソコン、メーカー名や管理番号や色も記入します。同じパソコンが複数あったときに、特定できるようにできるだけ詳しく記入しましょう。
資産区分
パソコンは『器具・備品』と記入します。国税庁の耐用年数表を見てどれに属するのか調べましょう。
取得年月日
購入した日を記入します。
取得価格
パソコン本体とそれに付随するウイルスソフトやセッティング料などもあれば、まとめて合計金額の150,000と記入します。
耐用年数
国税庁の耐用年数表を見ると、パソコンは4年です。
減価償却額
取得価格×償却率なので、150,000×0.25=37,500となります。(減価償却額とは減価償却費のことです)
償却率
上記の償却率表を見て記入します。
ここで注意していただきたいのは、平成19年3月31日以前に取得した場合と平成19年4月1日以降に取得した場合では、税法の改訂により償却率が変わっているという点です。平成19年4月1日以後取得の定額法、耐用年数が4年だと、償却率は0.25となります。
償却方法
個人事業の場合は定額法を選択します。
帳簿価格
取得価格―減価償却額なので150,000-37,500=112,500となります。
実際に固定資産台帳を作る方法3パターン
では最後に、実際に固定資産台帳を作る方法を3つご紹介したいと思います。
仕訳もらくらく!会計ソフトで作成
固定資産台帳の書き方はおおよそわかったけど、一人できちんと作れるか不安という方には、会計ソフトがおすすめです!
入力するという点では、エクセルとあまり変わらないような気がすると思いますが、会計ソフトのメリットは自動で仕訳をしてくれるという点です。
固定資産台帳を作るということは、同時に減価償却費を計上して経費帳を作ることになるとお伝えしましたね。単純に作業量が倍に増えるという感じですが、会計ソフトだと、固定資産台帳に入力すれば自動で減価償却費の仕訳をしてくれるのです。
無料で試しに使える会計ソフトもありますので、仕訳に自信がない方は、ぜひこの機会に試してみてはいかかでしょうか。
公式サイト | 解説記事 |
「freeeの無料プランでできること」 「freeeの料金は?」 「freeeの評判は?」 |
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freeeを使った固定資産台帳の作り方
例の1つとして、会計ソフト『freee』を使った固定資産台帳の作り方をご紹介します。
まず、ログイン後ホーム画面上部のメニューから『確定申告』→『固定資産台帳』を選択すると、固定資産台帳作成のページに飛びます。
このようなページになり、下の方には過去に登録した固定資産が記載されていきます。『固定資産の登録』をクリックしてください。
このように、固定資産台帳を作るにあたって必要な情報を入力するページになります。主に上記でお伝えした記入項目を埋めていけば作成完了となりますが、必要に応じて『按分比率』や『部門』の区分けなども可能となります。
このように、会計ソフトを使えば簡単に固定資産台帳を作成できます。もちろん、固定資産台帳以外にも確定申告で必要な帳簿を簡単に作成してくれますので、個人事業主の方にはおすすめのサービスです。
自由な形式でエクセルで作成
先ほども伝えましたが、固定資産台帳には決まったフォーマットがないので、エクセルで自由な形式で作るということもできます。エクセルが得意な方はもちろん、あまり得意ではない方でも手書きではなく入力になる分、とてもラクに作ることができます。
形式に決まりなし|テンプレートを使う
またインターネットで検索すると、無料のエクセルテンプレートなどもありますので、そちらも活用されてみてもいいですね。
- 「経理プラス 固定資産台帳ダウンロード」←Excelファイルをダウンロード
- 「bizocean 書式テンプレート」←登録が必要
市販のノートを使って作成
固定資産台帳は特に決まったフォーマットがないのですが、店頭やインターネットで固定資産台帳専用のノートが販売されています。
手書きなのでもちろん大変ですが、何事も最初が肝心なので、帳簿作りに慣れるつもりでノートに挑戦してみるのもありです。
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まとめ
以上、固定資産台帳を作る目的と必要性とは?書き方や実際の作り方でした。
簡単にまとめると、
- 固定資産台帳は資産管理だけではなく税金対策にも有効
- 固定資産台帳と減価償却費はセットで覚えよう
- 固定資産台帳は確定申告で作成義務がある
- 会計ソフトを使えば減価償却費の仕訳計上も自動でしてくれる
固定資産台帳はただの資産管理ではなく、節税対策や正しい会計処理をするのにも重要な帳簿だということが分かりました。
確定申告にも必要になってきますので、それまでにしっかり固定資産台帳を作っていきましょう。
仕訳に自信がないという方や安心して帳簿作りをしたいという方は、ぜひ会計ソフトも試してみてください。
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確定申告で必要になる帳簿の種類は買掛帳だけではなく、他にも様々なものがあります。書き方などが気になる帳簿があれば併せてご覧いただければと思います。
記帳全般の内容
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▼「主要簿の目的や必要性は?」
▼「補助簿の種類や必要性とは?」
▼「簡易簿記とは?帳簿の書き方や作り方」
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▼「青色申告で必要な帳簿の種類は?」
それぞれの帳簿について
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